長崎外国語大学 セクシュアル・ハラスメントに関する苦情相談に対応するに当たり留意すべき事項についての指針セクシュアル

平成12年4月1日制定

第1 基本的な心構え

(1) 被害者を含む当事者にとって適切かつ効果的な対応は何かという視点を常に持つこと。
(2) 事態を悪化させないために、迅速な対応を心がけること。
(3) 関係者のプライバシーや名誉その他の人権を尊重するとともに、知り得た秘密を厳守すること。

第2 苦情相談の事務の進め方

1 苦情相談を受ける際の体制等
(1) 苦情相談を受ける際には、原則として2人の教職員で対応すること。
(2) 苦情相談を受けるに当たっては、同性の教職員が同席するよう努めること。
(3) 相談を受ける教職員は、苦情相談に適切に対応するために、相互に連携し、協力すること。
(4) 実際に苦情相談を受けるに当たっては、その内容が相談を受ける教職員以外の者に見聞きされないよう周りから遮断した場所で行う。

2 相談者から事実関係等を聴取するに当たり留意すべき事項
(1) 相談者(苦情相談を行う教職員)の求めるものを把握すること。
将来の言動の抑止等、今後も発生が見込まれる言動への対応を求めるものであるか、又は喪失した利益の回復、謝罪要求等過去にあった言動に対する対応を求めるものであるかについて把握する。
(2) どの程度の時間的な余裕があるのかについて把握する。
相談者の心身の状態等に鑑み、苦情相談への対応に当たって、どの程度の時間的な余裕があるのかを把握する。
(3) 相談者の主張に真摯に耳を傾け、丁寧に話を聞くこと。
特に相談者が被害者の場合、セクシュアル・ハラスメントを受けた心理的な影響から必ずしも理路整然と話すとは限らない。むしろ脱線することも十分想定されるが、事実関係を把握することは極めて重要であるので、忍耐強く聴くよう努める。
(4) 事実関係については、次の事項を把握すること。なお、その内容については、当事者のみの知ることか、又は他に目撃者がいるのかを把握する。
① 当事者(被害者及び加害者とされる者)間の関係
② 問題とされる言動が、いつ、どこで、どのように行われたか。
③ 相談者は、加害者とされる者に対してどのような対応をとったか。
④ 監督者等に対する相談を行っているか。
(5) 聴取した事実関係等を相談者に確認すること。
聞き違えの修正並びに聞き漏らした事項及び言い忘れた事項の補完ができるので、聴取事項を書面で示したり、復唱するなどして相談者に確認する。
(6) 聴取した事実関係については、必ず記録にしてとっておくこと。

3 加害者とされる教職員からの事実関係等の聴取
(1) 原則として、加害者とされる教職員から事実関係等を聴取する必要がある。ただし、セクシュアル・ハラスメントが職場内で行われ比較的軽微なものであり、対応に時間的余裕がある場合などは、監督者の視察、指導による対応が適当な場合も考えられるので、その都度適切な方法を選択して対応する。
(2) 加害者とされる教職員から事実関係等を聴取する場合には、加害者とされる教職員に対して十分な弁明の機会を与える。
(3) 加害者とされる教職員から事実関係等を聴取するにあたっては、その主張に真摯に耳を傾け、丁寧に話を聞くなど、相談者から事実関係等を聴取する際の留意事項を参考にし、適切に対応する。

4 第三者からの事実関係等の聴取
職場内で行われたとされるセクシュアル・ハラスメントについて当事者間で事実関係に関する主張に不一致があり、事実の確認が十分にできないと認められる場合などは、第三者から事実関係等を聴取することも必要である。この場合、相談者から事実関係等を聴取する際の留意事項を参考にし、適切に対応する。

5 相談者に対する説明
苦情相談に関して具体的にとられた対応については、相談者に対して誠実に説明する。

第3 問題処理のための具体的な対応例

相談者が苦情相談に対応するに当たっては、セクシュアル・ハラスメントに関して相当程度の知識を持ち、個々の事例に即して柔軟に対応することが基本であるが、具体的には、事例に応じて次のような対処が方策として考えられる。

1 セクシュアル・ハラスメントを受けたとする教職員からの苦情相談
(1) 教職員の監督者等に対し、加害者とされる教職員に指導するよう要請する。
例えば、職場内で行われるセクシュアル・ハラスメントのうち、その対応に時間的余裕があると判断されるものについては、職場の監督者等に状況を観察するよう要請し、加害者とされる教職員の言動のうち問題があると認められるものを適宜注意させる。
(2) 加害者に対して直接注意する。
例えば、性的なからかいの対象にするなどの行為を頻繁に行うことが問題にされている場合において、加害者とされる者は親しみの表現として発言等を行っており、それがセクシュアル・ハラスメントであるとの意識がない場合には、相談者が加害者とされる者に対し、セクシュアル・ハラスメントに該当することを直接注意する。
(3) 被害者に対して指導、助言する。
例えば、職場の同僚から好意を抱かれ食事やデートにしつこく誘われるが、相談者がそれを苦痛に感じている場合については、相談者自身が相手教職員に対して明確に意思表示するよう助言する。
(4) 当事者間の斡旋を行う。
例えば、被害者がセクシュアル・ハラスメントを行った加害者に謝罪を求めている場合において、加害者も自らの言動について反省しているときには、被害者の要求を加害者に伝え、加害者に対して謝罪を促すよう斡旋する。
(5) 人事上の必要な措置を講じることも考慮する。
例えば、セクシュアル・ハラスメントの内容がかなり深刻な場合で、被害者と加害者を同じ職場で勤務させることが適当でないと判断される場合などには、当事者の人事異動等の措置をとることも必要となる。

2 セクシュアル・ハラスメントとの指摘を受けたが、納得がいかない旨の相談
例えば、昼休みに自席で週刊誌のグラビアのヌード写真を周辺の目に触れるように眺めていたところ、隣に座っている同僚の女性教職員から、他の教職員の目に触れるのはセクシュアル・ハラスメントであるとの指摘を受けたが、納得がいかない旨の相談に対し、周囲の教職員が不快に感じる以上はセクシュアル・ハラスメントに当たる旨、注意を喚起する。

3 第三者からの苦情相談
例1:例えば、同僚の女性教職員がその上司から性的なからかいを日常的に繰り返し受けているのを見て不快に思う教職員から相談があった場合には、同僚の女性教職員及び上司から事情を聞き、その事実がセクシュアル・ハラスメントであると認められる場合には、その上司に対して監督者を通じて、又は相談員が直接に注意を促す。
例2:例えば、非常勤教職員に執拗につきまとったり、その身体に不必要に触る教職員がいるが、非常勤教職員である本人は、立場が弱いため苦情を申し出ることをしないような場合について第三者から相談があったときには、本人から事情を聴き、事実が認められる場合には、本人の意向を踏まえた上で、監督者を通じて、又は相談員が直接に加害者とされる教職員から事情を聴き、注意する。

第4 学生等又は学生等の保護者に係る苦情相談について

学生等又は学生等の保護者に係る苦情相談への対応については、上記事項に留意するとともに、遅滞なく「委員会」に報告し迅速かつ的確な処置をとること。


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