ドイツ民衆文学を社会思想史の観点から研究しています。子供の頃から『グリム・メールヒェン』が好きでしたので、大学ではその文体分析を試みました。その後は、民衆文学を称揚した詩人や学者の文学観、歴史意識を中心テーマとして研究を進めてきました。18〜19世紀ドイツの思想潮流と社会状況を照らし合わせる手法で、近代的知識人が古く単純な民衆文学に魅力を感じた理由を多面的に考察しています。
田舎に生まれ育ったからか、私自身、自然を相手にした生活に惹かれます。何事にも、耕すように育てるようにじっくり取り組みたいと思っています。
1995年 九州大学文学部卒業(独文学専攻)
1997年 九州大学大学院文学研究科独文学専攻修士課程終了
2004年 九州大学大学院文学研究課博士後期課程独文学専攻満期退学
博士(文学、九州大学)2011年
[担当科目]
ドイツ語文法、ドイツ文化演習、ドイツ語学演習など
[教育方法・内容の工夫]
学生ひとりひとりの関心や目的に合致した、オーダーメイドの教育を心がけています。自由な対話を通して、学生が抱く漠然とした興味を明確な問題意識へと高め、知識欲を喚起します。また、答えを出すスピードよりも、様々な解釈の可能性に目を配る注意力と綿密な論証を重視し、広く深い「思考の根」を育てます。
[その他特筆すべき事項]
「ドイツ語ドイツ文化海外セミナー」をはじめとして、ドイツ留学を包括的にサポートします。また日常的にドイツとふれ合えるよう、多彩な課外活動を提供します。
[最近5年間の研究]
(1)「民衆啓蒙運動」およびその主導者R.Z. ベッカーの研究。18世紀末期に隆盛した「民衆啓蒙運動」の中で、知識人の思い描く民衆(Volk)像、とりわけ農民のイメージがどのように変化したかを検証している。今後は他の民衆啓蒙家の著作に研究対象を広げて、この思想運動の全体像に迫りたい。
(2)啓蒙主義における愛国(愛郷)主義、ナショナリズムの研究。ドイツの啓蒙家たちは、「世界市民」を標榜する一方で、郷土愛によって結束する「国民」の育成を目指した。コスモポリタニズムとナショナリズムという相反する志向がなぜ共存できたのか、どのような論理で両者が融合していたかを考察している。
(3)「民衆啓蒙運動」と後期ロマン主義の接続。「民衆啓蒙運動」が次世代の後期ロマン主義における民衆文学賛美を惹起した、という仮定を立て、両者の思想的影響関係を探っている。「民衆啓蒙運動」を広義の文学的営為と見なすことで、この時代の文学史記述を再検討してゆく。