戸口民也
1996年夏 開設 / 2013年1月7日改訂
(リンクは自由です)
ご意見や情報がありましたらご連絡ください。
収録語彙35000語から40000語程度で、はじめてフランス語を学ぶ人に薦める。あとに紹介する中辞典や大辞典は、初心者には必ずしも使いやすくないからである。
しかし、フランス語を専門的に学ぶ人に対しては、2年目から3年目にかけて、中辞典に切り替えることを強くすすめる。語彙・用例とも、本格的なフランス語テキストを読むためには少なくとも中辞典クラスが必要だからである。
ただし、中・上級レベルになった人でも、最新の語彙を調べようとしたら、改定が頻繁に行われるこのクラスの辞典を持つ必要に迫られるだろう。
最新の仏和辞典。和仏インデックスつき。
この辞書の最大のポイントは充実した「語法」欄、「比較」欄だろう。「語法」欄では文法・語法上の注意や正しい使い方が解説され、「比較」欄では類義語の意味上の比較が示されている。これらと並んで重要なポイントとして、動詞の項目はどういう文型・構文で使うかがわかりやすく示されていることを指摘したい。
最も新しい仏和辞典だから、その分だけ最新情報も収録されている。学習仏和辞典というだけでなく、中・上級者にも使いでがある、よくできた辞典である。
小学館HPでは次のように紹介されているので、参考までに紹介しよう。
・フランス語のマスターに必要十分な3万5千語を収録。和仏インデックス付き。
・重要語は色見出しで表示し、カナ発音を付けました。重要語義は太字で表示。
・新語や新語義、新成句を多数追加。
・基本語義をイラストで図解。
・似ていても微妙に異なる英語とフランス語の違いを説明。
・「語法」欄で、語の正しい用法を、「比較」欄では類義語の異同を解説しました。
・語と語の結びつきがわかる連語関係を克明に表示。
和仏インデックス、動詞活用変化形索引(主な動詞のみ)、発音・数詞・動詞活用形を収録したCDつき。
見出し語47000語というのは、このクラスの辞書としてはかなり多い。類義語、反義語の指示あり。重要な単語には語義・語法上の解説欄を囲みでわかりやすく示している。
画期的な学習仏和-というよりは学習仏和辞典という名に値する本邦最初の仏和辞典-として注目を浴びた『クラウン仏和辞典』の最新改訂版である。今回の主な改訂は「情報化・インターネット時代に対応した新語を収録」にあるようだ。
辞書の最後に加えられている「動詞活用変化形索引」は(主な動詞のみだが)よく勉強する人には大変ありがたいもの(勉強しない人にとってはなんでも猫に小判)。1年の終わりから2年目にかけて威力を発揮する。
これまで学習仏和辞典として親しまれてきた『Le Dico 現代フランス語辞典』の最新改訂版(第3版)。出版社の案内によると、今回の主な改訂は以下の4点に集約される。
第3版では収録語彙を4万語に増やしている。日本語索引、別冊で動詞活用変化形索引(主な動詞のみ)つき。動詞活用変化形索引(主な動詞のみ、こちらは別冊でついている)は、よく勉強する人には強力な味方。英和辞典でよく使われている名詞の可算・非可算の区別、類語の指示や文法・語法上のポイント、イラストなどを積極的に導入している。
旺文社のホームページでは次のように解説されている。
「初級者から上級者まで使える定番の全面改訂版で、さらに見やすくなりました。フランス語学習に必要な4万語を収録(旧版3万8千語)。語の使い分けが一目でわかる類語欄、豊富な会話用例・会話コラム、文法の要点を簡潔に示す「ポイント」「語法」などが充実。さらにジェスチャー解説や現代フランス情報など、興味深い記事も収載。主要語には初級者にやさしいカナ発音をつけ、基本語には相当する英語を併記。発音および文法解説・動詞活用表・日本語索引を収録。別売商品として、本書に発声CDがついた「CD付き版」もあります。」
和仏インデックスつき。語義や動詞の用法、構文についての解説が優れている(これは仏文和訳、さらには仏作文をするときに大変役に立つところである)。分類・整理の仕方にも工夫があり、使いやすい。第2外国語でフランス語を学ぶ人にだけでなく、フランス語専攻生にも最初に使う辞書として推薦することもできる。語彙が限られているというマイナス要因を承知してさえいれば(それを補うために、1年の終わりごろからロワイヤル、スタンダード、あるいはロベール大辞典などと併用するという条件で)、専攻生にとっても十分使いでがある辞書である。
ラルース社のDictionnaire du francais langue etrangere, Niveau 2(外国人学習者のためのフランス語辞典)をベースにして、日本人学習者のためにつくられた画期的な学習フランス語辞典である。特にフランス語を書くときには、強い味方になるに違いない。
この辞典は「仏和辞典」となっているが、実際には語義、語法、文法、フランス語構文(シンタックス)などを丁寧に調べながら、現実にフランス語がどのように使われる(話され、書かれる)かを学習者が理解し、身に付けてゆくことを目的とした辞典である。「まえがき」の文章を引用しながら解説するなら、つぎのようになるだろう。
この辞書は、「外国語を日本語に通訳する道具とみなす、むかしながらの考え方」ではなく、「一つ一つの語を、どんな場面、どんな文脈で、発話意図に応じて選び、他のどんな言葉と、どんなふうに組み合わせて、文にまとめあげればいいのか、いけないのか、その使い方がわかる」ように編集されている。それによって、フランス語の「言語活動のプロセスをできるだけ忠実に意識化し、再現、記述し、辞書を引く人に追体験させ、同じ言語共同体の一員として、同じ言葉を使って自由に表現し、理解する活動ができるようにいざなう」ことが可能となるような、「理想の辞典」を目指している、ということだ。この辞書の具体的特徴をあげると次のようになるだろう。
中辞典クラスが久しく改訂されずにいたが、ついに出たというところ。第2版では収録語数が大幅に増えて9万語となった。ページ数も初版と較べて100ページ近く増えている。CD-ROM(windows版)がついているので、コンピュータ利用者には大変ありがたい。その点を考慮すれば、6,300円(初版より約2000円値上げ)という価格も納得できる。
CD-ROMはコンピュータにコピーして使うこともできるようになっているので、日常的にコンピュータを使って仕事をしている者には大変便利である。「訳語概要」(主な意味をざっと調べるのに便利)と「詳細表示」(語法や用例など詳しく調べるときに使う)の切り替えも悪くない。電子辞書と違って大きなPC画面で見られるので、特に「詳細表示」で詳しく調べるときには大変重宝する。画面のデザインも見やすい。
動詞の変化形から不定詞を探す機能もCD-ROMを使うようになっている。初版では巻末の「動詞活用変化形索引」を使うようになっていて、それはそれで大変便利だったが、PCを使った方がもっと素早く検索できるので、これも機能強化といえるだろう。
旺文社のホームページでは次のように解説されている。
「初級者から専門家まで使える本格的な仏和辞典の増補改訂版。情報科学・時事関連の新語・新語儀や固有名詞・略語等を大幅に追加して収録語数9万。関連表現を見やすくまとめた用語欄、百科事典的情報が豊富なinfo欄などのコラムも充実。付録CD-ROM(windows版)は辞典本文に加えた、全動詞の活用変化形を表示し、見出しにない変化形からの検索も容易。」
フランス語を専攻する人にすすめる。
収録語彙65000語。専門用語もきっちり収録されている。写植ではなく、活字を使っているのも玄人好みする点。ただ、語彙や出版年(久しく改訂されていない)を見ると、上の『ロワイヤル仏和中辞典 - 第2版』と較べてだいぶ見劣りがすると言わざるを得ない。
古典的な辞書作りの方法で、ていねいに編集された大辞典。序文を参考にしながらこの辞典の特色をまとまると、次のようになるだろう。
「一つ一つの単語を、できるだけ多くの角度から検討し、それらの単語のもつ意味を浮き彫りにし、立体化すること」、「語義の表示については、日本語の訳語を多く羅列することを意識的に避け、語義の陰影を(・・・)明らかにすること」、たとえば、
1、文脈の中で単語をとらえる、そのために文例もできるだけ多くを挙げる
2、各単語がもっている意味の広がりを明らかにする
3、単語の意味を訳語によって示すだけでなく、できるだけ補足説明を加える
4、必要に応じて同義語を示す
などのことを試みている。
文学作品を読む時、単語の意味の広がりを考えながらフランス語のテキストを読む時には、大変役に立つ辞典であると思う。
古典をひもとくための学問的な辞典というよりは、むしろさまざまな分野の現代フランス語を使いこなすためにつくられた辞典。編集の基本方針はフランス語の「現用尊重」と「連語関係重視」である。
(詳しくは(11)~(13)ページの「現用主義と連語関係重視」を読んでもらうとよい。)
「はじめに」で書かれているように、この辞典は「現代世界のあらゆる持ち場で生活しながら、日々フランス語で出版されている新聞、雑誌、各分野の最前線を形成する論文、専門誌、単行本等々を間断なく目にしている方々――ジャーナリスト、経済人、政治・外交の実務家、人文・社会・自然科学・工学・技術の専門化、音楽・美術・モード等々の関係者」がそれぞれの専門職で使えるように編集されている。たとえば、新語、固有名詞、合成語などを積極的に収録し、訳語も思い切って単純、明快、断定的に示されている。
用例や語法の解説も豊富で、とくに実務で使うためのものとしては現時点で最高レベルの仏和大辞典といえよう。
ただ、初版が出てすでに久しい。改訂版が待ち望まれる。
辞典は訳語の単なる羅列であってはならないということは、どの辞書にも共通して言えることだが、この和仏辞典はとくにその点に注意を払って編集されている。たとえば「わかる」という日本語に対応するフランス語の動詞は何かを調べると、見出しの配列に工夫しながら「わかる」がどう言う意味で使われているかをまず定義し、それによってcomprendre、savoir、connaître、voirなど、それぞれの意味に対応する動詞があげられているのである。他の和仏辞典でもそうした配慮はもちろんなされているが、見出しの配列のしかた、分類の仕方が非常にわかりやすく、語学歴が浅い利用者にも容易に違いが区別できるよう編集されている点は高く評価してよい。フランス語で文章を書くときや、フランス語で発表する際の原稿を準備するときなど、とくに役に立つ和仏辞典である。
旺文社のホームページでは次のように解説されている。
「入門者から専門家まで使える定番の全面改訂版。さらに見やすくなりました。現代用語をお大幅に増補し、4万5千語収録(旧版4万2千語)。日本語慣用表現を充実させ、語の使い分けが一目でわかる類語欄、フランス語会話の力がつくコラムなどが豊富。会話表現には必要に応じてカタカナ発音を付記。また、語の結びつきと関連を示す「結びつき」「関連」、大項目見出しの後には要点を簡潔に示す「レジュメ」、用法上の注意事項などは随所に掲載。巻末に便利な動詞活用表を収載。」
ていねいにつくられた本格的和仏辞典。「付録」もよくできているのでおおいに利用したい。
『プチ・ロワイヤル和仏辞典』が初級から中級レベルの学習者に対して親切な和仏であるとしたら、こちらはむしろ中級者から上級者向けというべきだろう。
予算に限りのある人、あるいはしょっちゅう持ち歩いて機動的に使いたいという人にはこれがよい。「囲み」のページにテーマごとに関連語彙・表現がまとめられているのも大変便利。小なりといえども使いでは十分にある和仏辞典である。
和英/和仏を兼用できる携帯用小辞典。収録語数30,000で、日本語の見出しに、英語とフランス語の対応語/表現がついている。辞典というよりは語彙集(文法・語法上の解説はなく、用例もほとんどない)といったほうがよい。「欧州旅行に2倍役立つ」というのが出版社のセールスポイント。たしかにフランス以外のヨーロッパの国に行ったときは英語を使うケースもでてくるので、そんなときには便利そうである。
仏和71,000項目-和仏25,000項目。他の携帯用辞典に較べて収録項目数が多いのが特徴。
仏和70000語-和仏8000語。ポケット版仏和・和仏辞典としては語彙が多い。
仏和56,000語-和仏10,00語。「現場対応型、生活密着型」の編集方針で、新語・新義語を積極的に収録している。
仏和23,000語-和仏10,000語。手のひらよりも小さく、ハンドバッグに簡単に入るので、携帯には便利。
電子辞書
紙の辞書
教師としては、とくに初心者には紙の辞書を強く薦めたいところだ。一覧性の悪さ、語法・用例の調べにくさは、学習上、大きなマイナスであるからだ。
しかし、留学を考えている人には、電子辞書の利点は大きい。(留学中には、英語辞典や国語辞典も必要になることがよくある。)それぞれの強みと弱味をよく理解した上で選び、使ってほしい。
電子辞書化されているのは、現在のところ2種類ある。
なお、『小学館ロベール仏和大辞典』が収録されている電子辞書が最近売り出されたが、初心者にはすすめられない。上級者で、経済的余裕があり、しかも頻繁に持ち運んで使う必要がある人なら別だが・・・ それでも、小さな液晶画面では、使い勝手は悪いだろう。『ロワイヤル仏和中辞典 - 第2版』のように、CD-ROMを用意してくれたほうがよほどありがたい。
通称 Petit Robert(プチ・ロベール)の最新版。本格的な仏仏辞典をといえばまずこれをすすめる。petit(小さい)という形容詞にだまされてはいけない。『小学館ロベール仏和大辞典』(28000円)のもとになっているのがこれで、質・量共に大辞典クラス。全8巻の Grand Robert に較べれば petit であるだけである。
機能主義に徹して、辞書編集に新風を吹き込んだ語学教育用フランス語辞典Dictionnaire du Français contemporain, Larousse(1971年増補改訂)の縮刷・復刻版。例えば動詞を例にとると、主語は「人」か「もの」かの区別、目的語をとる、とらない、もしもとる場合には「人」か「もの」かの区別、どういう構文をとるか・・・等々、実際にフランス語で書くときに役に立つ(必要不可欠な)情報がたっぷり盛り込まれている。語法、類義語、反義語、関連語なども一目でわかるので、中級から上級にかけて、フランス語の応用力、実践能力を養うためには非常に役に立つ道具である。仏作文にも大変便利。オリジナル版は私も長いこと愛用した。
ただ日本人学習者には、『白水社 ラルース仏和辞典』(2001年4月刊)(「ユニークな学習仏和辞典」を参照)の方がむしろ使いやすいだろう。
『白水社 ラルース仏和辞典』を十分に使いこなし、さらにレベルの高い同系統の仏仏辞典を手に入れたいという人には、次に紹介するLEXISをすすめる。
上に紹介したDictionnaire du Français contemporainの後を受けて出版された本格的なフランス語辞典 Dictionnaire de la langue francaise LEXIS の最新版。機能主義的特徴をそのまま引き継いでいるので高度な語学教育用辞典であり、作文のためにもたいへん便利な道具である。しかもその上に、語源の明示、文学テキストの例示、古典的・文学的用法への言及など、本格仏語辞典に不可欠な要素もきちんと取り込んでいる。仏語・仏文科の大学院生、フランス語教員、フランス語で文章を書く機会が多い人にすすめる。
ラルース社の類義語辞典、ペーパーバック版。これも持っていると便利。
インターネット上で辞書を使うことができる。
たとえば、Larousse 社のサイトで On-line 辞書のサービスhttp://www.larousse.fr/が提供されている。
自動翻訳プログラムによる「英-仏・仏-英」無料翻訳サービスを行っているサイトがある。たとえば、AltaVista: Translationsなどはその代表格だ。英‐仏・仏‐英の簡単な翻訳なら、これでなんとかなるだろう。ただし、当てにし過ぎないように。最後にチェックするのは人間の仕事である!
もう少し詳しく知りいと人は、「戸口おすすめサイト」の「オンライン辞書」を参照のこと。
高価だが、仕事でフランス語を使う人には必要。
音になじみながら、あわせて聞き取り・書き取りの訓練に取り組むとよい。次のシリーズ(エディション・フランセーズ、全編CD付-中級編・上級編はCD2枚)を推薦する。仏検対策用に出版されているシリーズだが、聞き取り・書き取りの訓練にはちょうどよい。中級編・上級編のテキストが聞き取れるところまでくれば、仕事に使えるレベルの力が身についたと考えてよいだろう。
予算が限られている人には次の選択肢もある。
フランスのテレビ・ラジオニュースや詩の朗読など、実際にフランス語を聞くことができるサイトが、インターネット上にはいろいろとある。
まずは「戸口おすすめサイト」のフランス語のラジオ・テレビニュースからどうぞ。
実は聞き取りが一番難しい。語彙力、文法・読解力、さらに語られている事柄に関する知識の裏付けがないと、正確に聞き取ることができないからだ。語彙力、文法・読解力を身につけるには続けて以下を見てほしい。
単語を知らなければ、聞く・話す・読む・書くのどれもできない。語彙力をつける/どのくらい力がついたかチェックするためには単語集が有効である。たとえば次のように段階をふんでいく方法がある。
テーマ別分類・1200語。フランス語専攻なら1年生の到達目標。第2語学としてなら2年間で。
ABC順・2400語。留学を考えているならこのくらいは覚えておきたい。
テーマ別分類・3000語。英語が得意な人、英語とフランス語の両方を勉強したい人、英仏語の比較に興味のある人に。とくに留学希望者にすすめる。-残念ながら品切れか絶版になっているようだ。
使用頻度の高い3469語の基本語を収録。
テーマ別分類・5000語。これだけ知っていれば確かにフランスですぐ役に立つ。
ABC順、7000語。類義語、反義語、関連語など、きめ細かな単語学習に。英語の勉強にも役立つ。上の3000語をマスターした人にすすめる。-残念ながら品切れか絶版になっているようだ。
あるいは最初に次の本を使い、その後で上に紹介した『フランス文化を理解するための語彙集』(5000語レベル)に移るという選択肢もある。
索引に上げられている単語は2000語程度だが、フランス語生成のメカニズムや類義語の説明など、じっくり読むべきところが多い。
単語には、基本的な意味だけでなく、その意味を拡大した使い方がある。辞書を丁寧に「読む」こと、とくに例文をしっかり確認しながら、単語の意味の「ひろがり」や「使い方」を確かめる習慣を身につけてほしい。
とくに初心者に注意してもらいたいのは語順である。どんな言語にも単語があるが、単語の並べ方、組み立て方は言語によってそれぞれ違う。そのことをしっかり理解するための第一歩として、まずは語順に注意というわけである。いつまでたっても日本語の語順が抜けないようでは、先には進めない。
語順に注意しながら、フランス語のしくみを理解していこう。名詞・形容詞の性と数、動詞の変化などのほかに、単語をどう組み立てて文を作るのか、どの単語からどの単語までがひとまとまりの意味グループを作っているのかを知ること(構文把握)がとくに大切。文法をきっちり勉強し、読む力、書く力を身につけていくとき、はじめて中級・上級へと進む道が開けてくる。
以下にあげたのはほんの一例。自分の好みにあったものを一つ。授業の進度にあわせて基礎から順を追って勉強できるものと、簡単な文法事典として使うもの(授業の進み方とは必ずしも一致しない)の二種類ある。ほとんどは授業の進度にあわせものである。
構文把握にポイントを置いた入門書。まず第一にこの本を推薦する。CDも大いに活用してほしい。
授業の進度にあわせて。文法のポイントの説明が丁寧で、練習問題にも詳しい解説ついているので、自習用参考書として使いやすい。
「テーブル式」というのは表の形にまとめてあるということ。左側のページが表になっていて、右側のページで解説という、2ページ見開きの形式になっている。どういうことを調べたいかがはっきりしているときは、非常に見やすい。
品詞を中心に分類・整理されていて、初級用文法事典としても使える。
これを使って基礎固めができたら、中級用の『テーブル式フランス語便覧』に移るとよい。ネット書店ではまだ入手可能なようである。
授業の進度にあわせて。
授業の進度にあわせて。
後半の第2部は必読。フランス語の考え方が実に要領よく説明されている。
あいにく品切れになっているようです(2006.12.20.)。
なお、文法に限らず、もっと幅広く勉強したいという人には『コレクション・フランス語』シリーズ(白水社)を薦める。ただし、並べて飾っておくだけでは意味がないから、手に入れた以上は全部を使いこなすことだ。全巻CD付なので、耳の訓練もできる。
参考書ではなく、インターネットのサイトで、白石樹人さんのプログラム。不定詞からの検索も、活用形からの検索も可能です。フランス語学習者が最初に苦労するのが動詞の活用だろう。今、ネットワークPCでこの画面を見ながら活用を確認をしたいという人には、まさに「強い味方」になるにちがいない。
なお、複合時制(完了形)、受動態、代名動詞の活用はない。また、-er規則動詞(donner
など)も省略されているので、念のため。
ただし、acheter、lever などの語幹が変化するタイプ、第2群規則動詞(finir
chousir など)は収録されている。
Internet Explorer 5.5 でためしたところ、カナダ・フランス語キーボードからアクサン付きの文字を直接入力して検索ができた。(ただし、Netscapeでは、注意にあるように、「分かち書き」で入力する必要がある。「分かち書き」入力の仕方は検索表の下にある「使い方と一般的な情報」で確認のこと。
「アクセント」「アルファベット」「一致」から「目的補語」「リエゾン」「話法」まで、アイウエオ準に分類された文法事項が104項目が、それぞれ見開き2ページでまとめられている。サイズは新書程度(新書と較べてやや縦長で、少し厚め)と小さいが、よくまとまっている。1年の終わりごろに手に入れて、いつも持ち歩いて使うと良い。また、2年目、3年目に文法をまとめて復習するためにも利用できる。
「テーブル式」というのは表の形にまとめてあるということ。左側のページが表になっていて、右側のページで解説という、2ページ見開きの形式になっている。どういうことを調べたいかがはっきりしているときは、非常に見やすい。
品詞を中心に分類・整理されていて、文法事典としても十分使える。
また、文法用語がフランス語でもしっかり書き添えられているので、フランスでの研修に持ってゆくと便利。(文法の解説も、当然のことだが、すべてフランス語でなされるのだ!)とくに長期留学には絶対に必要。1年の終わりごろ手に入れておくとよい。
残念ながら品切れ。評論社のHPにもないので絶版になっているのだろう。2009年夏頃までは一部のネット書店を通じてなんとか入手できたが、ついにそれも不可能になった。あとは古書店で探すしかない(2010.2.11.)。
「テーブル式」が好みでない人は、こちらがよいだろう。量的にも、上の「テーブル式」よりも多い。白水社のホームページでは「『新フランス広文典』の全面改稿新版。フランス文法のすべてを品詞別に詳述し、詳細な索引によって事典機能も充実した頼れる一冊」とコメントされている。
文法・解釈などの他に、フランス語の背景的な知識も盛り込まれている総合参考書。白水社のホームページには次のようにコメントされている。
「文法・解釈・作文・単語・発音・背景知識と、フランス語の本格的な学習に必要な部門を立体的に網羅した、最高執筆陣による定評の一冊。初学者・独習者は《文法》の熟読により基礎知識を固め、さらに上を目指す者は、思考力を練り、技を磨き、仕組みを学ぶ。改訂版では背景知識の情報を刷新した。」
ただ、初心者にはちょっと難しすぎる。中級から上級レベルの学習者が、ゆっくり時間をかけて、フランス語の仕組みをよく理解しようとするときに使うとよい本である。
文法というより語法・表現を解説した本。たとえば quelques と plusieurs はどう違う(本書 p.12-13 参照)とか、bien をつけるとかえって意味が弱まることもある(p.154-155、203-204)などといったことは、うっかり間違ってしまいそうな-しかも辞書を調べるだけではなかなか気が付かないことである。この本を読めば、フランス語の意味とニュアンスにも敏感になるだろう。
1年で初級文法を終えても、なかなか読んだり書いたりできるようにはならない。2年から3年にかけて、いろいろな文章を読みながら中級レベルの文法を勉強し、同時にフランス語のさまざまな語法・表現に接してゆくうちに、フランス語も身についてくるというものである。
1年が終わった春休みあたりから読み始めると良い。
なかなか良くできた中級文法参考書だったのだが、現在は絶版。ただし、本学ライブラリーにおいてあるので、参照は可能。とくに第2部の、à, autre, comme...など、中級から上級レベルのテキストを読むとき注意しなければいけない重要単語の解説は、何度も読み返して頭に入れておくべきものである。日本の古本屋やamazon.co.jpで中古品を手に入れることもできる。
留学する人に薦めます。フランス滞在中は、フランス語で書かれた文法書も必要でしょう。フランスに着いて、留学生活が始まったら、その町の書店に注文するとよいでしょう。クレジットカードがあれば、alapage.comやAmazon.frでネット注文するのが手っ取り早いです。値段は16,30ユーロです。
ただし、フランス語だけを使って学ぶのには限界があります。日本語で書かれたしっかりした文法参考書も持って行って、両方を付き合わせながら文法の勉強をしてください。
1955年に初版が刊行されてから半世紀近くたって改訂版が出された。
文法事典の決定版。中・上級者向き。フランス語で専門的な仕事をしようという人は必携。
以下の4冊(ただし4番目の『フランス文法論 - 探索とエッセー』はエッセーのみ)をまとめたもの。フランス語の用法について、さらに詳しく教えてくれる。『新フランス文法事典』とあわせて、フランス語上級者必携。
- 朝倉季雄『フランス文法覚え書』(白水社、1967年)2621円
白水社ホームページのコメントを紹介するのが手っ取り早いだろう。(以下の2冊についても同じ。) 「著者の多年の研究成果のうち、品詞の機能、性の文体的用法と男性・女性の対立の消失、数の形態と数量の概念に関する30編を選んだ。日常ひんぱんに見られる構文に問題点を見い出し、他の文法書では扱わなかった分野を深く掘り下げている。フランス語の学習者・研究者に新鮮な視点を示唆する。」
- 朝倉季雄『フランス文法ノート - 基本語の用法』(白水社、1981年)2621円
「初級学習者もおなじみの基本語・基本構文30編をとりあげ、それぞれが文章の中でどのような制限規則を受けて使われているかを詳述。おびただしい実例からは作品のエッセンスがほとばしり、語学書なのに、詩を読むようなみずみずしさがある。研究者はもとより、初級を終えた学習者に強く勧める。」
- 朝倉季雄『フランス文法メモ - 基本語の用法』(白水社、1984年)2500円
「『フランス文法ノート』の続編。初級文法に出てくる基本語・基本構文には、規範文典からはみ出した様々な盲点がある。最新の小説や戯曲から採集した多数の実例と、インフォーマントの回答に基づき、現用フランス語の実際を示す。辞典・文法書の欠落を補う、生きたフランス語理解のための101章。」
- 朝倉季雄『フランス文法論 - 探索とエッセー』(白水社、1988年)3296円
上の3冊のいわば続編にあたる文法ノート10編と、著者の回想的エッセー4編を収めたもの。
フランス語の統辞法を考える上では必読書。ながらく品切れだったが、最近新装版となって再版された。ただし、「在庫僅少」なので、早めに注文しておくことだ。白水社HPでは以下のように紹介されている。
わずかな言語表現の差違が生み出す意味の違いを知ることは、文学・思想の深い理解のためには欠かせない。本書はフランス文の構造を精緻に分析し、読者を初級・中級から上級へと導く。
「おおまかな読み」から「精緻な読解」へ!
待たれて久しい名著の復刊。「僅かの言語表現の差違から感得され得る意味の違いは、文芸作品を読むときにも、理論的文章を読むときにも、文の構造を平生から適確につかむ習練を積むことによって可能になる。ここに『フランス語統辞法』を刊行するのは、入門期の文法を終えた学習者にフランスの文学・思想へさらに深く踏みこんでいただきたいとの願いからである」(「まえがき」より)。中級から上級を目指すならば、本書は欠かすことができないだろう。
約900ページの大著である。この分野の本格的文献としては最新の書でもある。
<TRC新刊書籍検索>の紹介には次のように書かれている。
「名詞、冠詞、形容詞、代名詞、動詞などの各品詞ごとに、語の機能と形態を詳細に検証し、フランス語の歴史的発展や周辺諸語との対比などを視野に入れつつ、フランス語文法を統合的に解説する。」
白水社HPでは以下のように紹介されている。
かつて「現代フランス文法」の名で愛された究極の文法書を、「大全」と改題して復刊。圧倒的な文例・用例の多さと「通俗」を目指したという著者の解説は、まさにその名に相応しい。
調べてもよし、通読してもよし。これぞ大全!
最も詳しい文法書として愛用された「現代フランス文法」の改題新装復刊。「第1部 発音、綴字、音節、符号」「第2部 文の諸要素」「第3部 品詞」「第4部 統辞法」「第5部 従属節」の全5部構成。各部とも「なるべく通俗的になろうとした」という著者の意図のもと、文法理論に深入りすることなく、「読みものとしての好ましさ」が加味されている。フランス語の全体像を捉えたいという人々には格好の導きとなるに違いなく、まさに「大全」の名に相応しい。
冠詞論としては古典的名著と言って良いだろう。白水社HPでは以下のように紹介されている。
入門段階でまず学ぶ文法事項でありながら、上級者でも判断に苦しむ冠詞の用法を、豊富な具体例に基づきながら平易明快な文章で分析し、フランス的精神の解読に挑んだ画期的名著。
『仏検合格のための傾向と対策』シリーズ、『仏検直前チェック』シリーズ、『フランス語の書きとり・聞きとり練習』シリーズ(いずれも発行:エディシヨン・フランセーズ/発売:駿河台出版社)がもっとも標準的といえるでしょう。
『仏検合格のための傾向と対策』シリーズ
『仏検直前チェック』シリーズ
『フランス語の書きとり・聞きとり練習』シリーズは「聞き取りと発音の訓練のために 」の項目で紹介しています
『仏検対策 聴く力 演習』シリーズ(新しいシリーズです)
以下のサイトも見てください。
「仏検」(文部科学省認定実用フランス語検定試験)の情報はこちら。
出発前の準備からフランス滞在中、帰国後まで、役に立つ情報が集められている。1ヶ月程度の研修から長期留学まで。ホームステイをしない人にも推薦する。
毎年増刷ごとに情報を更新しているので、奥付で何年版か注意して最新版を買うように。
動詞の「法」と「時制」について、また構文について、詳しく解説されている(動詞と構文については、中級文法の参考書としても使える)。「解釈」の例文も「読解」の実践編も文学作品の抜粋が主になっている。文学的フランス語の読解と訳し方の訓練にもなる。1年終わりの春休みから使いはじめるとよい。
(残念ながら、今では品切れのようです。)
こちらは、例文はむしろ日常生活の様々な場面で目にするような文章、時事的・実務的なフランス語が中心となっている。フランスで生活するときに役に立つ情報もたくさん収められている。読み物としても、結構楽しめる。
文学作品をフランス語で読む訓練。2年目から3年目にかけて。
フランス語の読解力をつけるために。
amazon では「出版社からのコメント」として以下のように紹介されている。
かつて<フランス語学文庫>の一冊として、「フランス文を正しく読み、正しく理解し、必要に応じてこれを適切な日本語にうつす」能力の開発を目標に編まれ、多くの学習者に親しまれた名著「解釈法」を、文字を大きく全面新組にして復刊。第1部基礎編では人間の思考・感情を8つの形式に分類してそれぞれに対応するフランス語特有の表現形態を分析し、19、20世紀の文学作品から引いた例を付す。第2部応用編では、その知識を用い、名作の抜粋を詳細な注によって味読する。
フランス語を正確読んできっちりと訳すためには、文法、語法など、どういったところに注意しなければならないかを具体的に解説した好著。たとえば名詞の訳し方(これが実際には難しいのだ!)から微妙なレトリックのとらえ方まで、例文も豊富である。仏文和訳から本格的な翻訳へとすすもうという人は必読。
辞書で単語の意味を引けば講読の予習は終わったと信じ込んでいる無邪気な学生には、この本の価値はついにわからないだろうか?
フランス語の文章をどう日本語に訳すか、技術的なアドバイスというだけでなく、日仏両言語の違いについても十分考えさせてくれる好著。文法の仕上げにも使える。中級から上級を目指す人は必読。フランス語を使って仕事をしようと思うなら、必ず持っていなくては。
バベル・プレスで出版された初版だけでなく、ちくま学芸文庫版もあります。好きな方を選んでください。
まずはこの本を推薦する。仏文和訳というよりは、フランス語で書くことに重点をおいた本。日本語とフランス語の発想の違いについてもていねいに解説している。第1章の「フランス語で書く際の心構え」からゆっくりと読んでゆくとよい。
地理、歴史、経済、教育など、トピックごとに例文を示しながら解説したもの。2年生でも使えないことはないが、3年生ぐらいが無理のないところか。(今では品切れのようです。)
前半の第1部「仏作文の考え方」は和文仏訳の参考書という体裁を取っているが、解説が非常にていねいなので、初級文法を終えた後、仏文法の基本をしっかりマスターするためにも役立つ本。後半第2部の「フランス語の考え方」はフランス語的なものの見方、考え方を、単語レベル、構文レベルから具体的に具体的に解説したもので、フランス語がどういう言語かを教えてくれる好著である。一度はぜひ読んでおきたい本。
政治、経済、社会などの時事問題を扱った文章をフランス語に訳す、あるいはフランス語で書くという時には、まっさきに参考にすべき本。中級から上級レベルを目指す人、とくにフランス語を使って仕事をしようと思うなら、必ず持っていなくては。
上に同じ。
上に同じ。
上に同じ。
高価だが、仕事でフランス語を使う人には必要。
あいにくいまは品切れになっているようだ。
出版社のサイトでは次のように紹介されている。「マーケティング・信用調査・引合い・信用状・売買契約・積出し・決済・クレームまで、貿易実務のあらゆる場面に応用可能な例文集。巻末には便利な語彙・表現集(仏和・和仏)付」。この分野の参考書としては最新のもの。
出版社のサイトでは次のように紹介されている。「英語が世界共通語化しているとはいえ、フランス語圏の国々におけるビジネスを効果的に進めるためには、フランス語の語彙力、コミュニケーション力が重要なポイントです。経済、金融、財務、産業、企業、貿易など最新2800語を網羅。豊富な用例はすべて仏英日で表記しています。巻末には便利な日本語索引付。フランス語力でビジネスに差をつけよう!」 ISUGAに留学しようという学生は必携。
フランス語とはどういう言語かを、主として文法的な観点から知るためにはこの本を読むといい。特に、大橋保夫氏による第1部第2章「フランス語とはどういう言語か」、同第3章「フランス語は明晰な言語か?」は必読。
以前白水社からでていた『ことばの背景 - 単語から見たフランス文化史』と『危ない話 - 続ことばの背景』をまとめなおしたもの。フランス語、フランス文化についてもっと深く知りたい人のために。
フランス語の冠詞の使い方は複雑かつ微妙です。中級から上級レベルを目指す人は、必ず勉強しておいてください。
著者自身による前書きは次のようにはじまります。
「フランス語のように長い文化的伝統をもつ言語には、日本・日本語にない者や観念を表す名詞が数多くあります。そのため、学習が進むに従って、ニュアンスどころか本当には意味も分かっていない名詞が増えてくるはずです。(・・・)」
実際に、学生に教えているとよく分かるのですが、名詞の意味や使い方をきちんと把握していないために、フランス語のテキストを読んでもさっぱり意味が分からない状態におちいるケースがしばしばあります。名詞の克服、大事です。
フランス語は名詞中心の構文を好む言語です。名詞の克服にはこの本も薦めます。
楽しんで読めるフランス・フランス人論。フランス語事始めはまずこの本から。
紀伊國屋書店のWebサイトには次のように紹介してありました。(ただし、今は品切れで手に入りません。図書館で借りて読んでください。)
フランスの文学、政治、経済、宗教、教育など多くの領域を研究するとき、その基盤となる基礎知識に欠けていることに私たちは気づく。またフランスを総合的視野のもとに紹介した書物も少ない。本書はそれらフランス研究の基本的知識を、大学生と一般の読者に平易に提供しようとする画期的な著。
小林先生のこの本もお薦めです。ただしこの本も品切れで、古書店でしか手に入らないかもしれません。本学図書館にはちゃんとありますので、学生は図書館を利用してください。
紀伊國屋書店のWebサイトには次のように紹介してありました。
文化を異にする二つの国民の相互理解を深めることは困難な仕事だが、議論を避けたり誤解を恐れていては、決して真の理解に達することはできない。
第1部 フランスの知恵と発想(広場の思想;社交の楽しみについて;聖徳太子の国とナポレオンの国;自動車の運転と国民性の違い;フランス語会話のよろこびと危険について;国際会議いまむかし;心の中のラ・マルセイエーズ;飛行機の中の日本人とフランス人;パリジェンヌの“神話”;大学の日本的特質―フランスとの比較;ナショナリズムと愛国心)
第2部 ルソー2題(ルソーの作曲;ルソーと「自然にかえれ」について)
個別的な体験だけに物言わす独断的文化評論を避け、日本とフランス両国人の間の差異を、なるべく原理的な物言いで語る、文化批判。語り口は平明、卑近な問題からかなり高度な問題にまで、読者に両国の人間の差異を興味深く示してくれると同時に著者のしたたかな目を感じさせる読み物である。
タイトルは「ふらんすざんまい」と読む。「おふざけ」ムードの文体は著者独特のものだが、内容はもっと真面目。フランス語やフランスという国・文化についての歴史的な背景がよくわかる。机に向かって勉強する姿勢で読むよりは、ソファーにゆっくりと腰掛けて読むほうが似合う本。あるいはもっと自堕落に、寝ころがって読んでもよいだろう。でも、本の中身はちゃんと読み取ってください。
出版社のWebサイトでは次のように紹介されている。
「いま、日本人にとってフランスとは何か?」の問いに応えうる現代日本最高のフランス通の著者が、その知識と50年の体験のすべてを語り尽くす。日仏修好150周年記念企画。前半は思い出話が中心で、興味を持てない人はとばしてもよいでしょう。学生諸君に読んでもらいたいのはむしろ後半です。
出版社のWebサイトでは次のように紹介されている。
ファッションやアートで人々を魅了し、国際政治でも米国やロシアといった大国に臆さない。このような世界が憧れる「フランス式」は、「発信力」の強さからきている。前駐仏日本大使が、フランスとの徹底比較から、日本の「国家ブランド」の打ち出し方を提言する。シラク、サルコジの新旧大統領とも親交のあった著者ならではのエピソードも満載。出版社の宣伝文句はともかく、要は「他を知ることを通じて自らを知る」ということであり、「では、何が問題か? 何をどうすればよいか? 何ができるのか?」という意識をもつことである。
著名な憲法学者が、フランスとの出会いからはじめて、デモクラシー、人権、フランス的意味における「共和国」、ヨーロッパ統合とフランスについて語った連続講座をもとにまとめられた本。フランスという国を理解するためだけでなく、国家・法・政治・人間の権利といった重要なテーマについて、また日本のあり方について考える上でも、示唆に富む本である。
著者は1990年から産経新聞パリ支局長。2001年から2006年末までに書いたコラムをまとめたもの。前著『大国フランスの不思議』(角川書店)の続編として読むと良いだろう。「はじめに」の最後で著者は次のように述べている。
さまざまな難問と軋轢のなかで、フランスは「自由、平等、博愛」という「共和国」としての自負と矜持を必死で守ろうとしている。グルメやモードという軟派のフランスとは異なる共和国フランスの本質と魅力のいったんでも読者に伝えることができ、現在、「美しい国」に向かって模索状態の日本に、ほんのささやかなヒントの一滴なりとも、もたらすことができたら、望外の喜びである。
共和国はなぜ十字架を排除したか。日本人にはおそらく理解しにくいこの「ライシテ」という原則は、たしかにフランス「共和国」を理解する鍵の一つであろう。
権力をめぐって対峙するカトリック教会と<共和派>の狭間で、一般市民は、聖職者は、女性たちは何を考え、どう行動したか。『レ・ミゼラブル』などの小説や歴史学文献を読み解きながら、市民社会の成熟してゆくさまを目に見える風景として描き出す。
「ジュール・フェリーをはじめとする第三共和政初期の政治家たちは、教育の現場や国会や地方議会など、公的な場には宗教は介入しないという大原則を確立しないかぎり、ようやく手にした議会政治に基づく共和政の存続すら危ぶまれると考えていた。国家が宗教からの自由を確保するために、国民は宗教活動について一定の制限を課され、ある種の不自由を受けいれることを求められる。これが、第四共和政、第五共和政の憲法にも謳われているライシテ原則である。」(本書「おわりに」より)
自由を求めて不平等になる国と、平等を求めて不自由になる国――どちらが日本でどちらがフランスか、おわかりだろうか? 著者の言葉を紹介しよう。
「21世紀初頭の日本には、事実上、自由主義以外の選択肢が存在しない。程度や視点の違いはあれ、ともかくリベラル(自由主義)こそが民主主義だと言わんばかりの状況なのだ。極めて大雑把に言うならば、われわれの前には、アメリカ型の自由主義とフランス型の平等主義という二つの選択肢が存在する。少なくとも、存在するはずなのである。アメリカ型の自由主義については、その長所も短所も含めて、われわれは多くのことを知っている。だが、フランス型の平等主義に関する知識や情報は、必ずしも十分なものではないと思われる。知らないからこそ、選択肢として意識されないのだ。」(序章より抜粋)
「革新自治体に代表される日本の左派勢力は、『支配階級の上からの政策』対『民衆の下からの要求』という、アメリカ型自由主義に典型的な図式を取り入れてしまった。戦後の日本におけるアメリカからの影響力に加えて、戦時期に民主主義が『上から』弾圧されたという記憶と、『下から』の社会主義革命という思想が混じり合い、何とも珍妙な政策が生まれてしまったようなのである。」(本文より)
文芸春秋社Webサイトでは次のように紹介されている。
グルメとファッションの国、自由・平等・友愛の国──日本人が漠然と憧れをいだきつつ、実はよく分かっていないフランスの人と歴史これを読むだけだと軽薄なフランス紹介のように思ってしまいそうだが、じつはもっとずっと真面目に「なぜ」と問いかけている本である。
エルメス、ルイ・ヴィトン、ロマネ・コンティ、ジョエル・ロブション、サルトル、フーコー……昔も今も、グルメやファッション、さらには学問の世界で日本人の憧れの的であり続けるフランス。でも、テレビの国際ニュースを見ていると、今日もドゴール空港はストで閉鎖だし、農民はマクドナルドの店を壊すし、イスラム教徒が学校でスカーフをかぶっていいかどうかを延々議論していたし、不思議なことばかり。そんなフランスの謎を、気鋭の歴史学者がやさしく、楽しく解き明かします。
まずは著者自身による紹介(=著者のホームページに掲載された文章)をどうぞ。
「日本では『欧米』とひとくくりにされるキリスト教文化圏ですが、本当のところは「欧」と「米英・アングロサクソン」の真っ二つに分かれています。その違いを解説し、アメリカ〈グローバリズム〉に「NO」と言った唯一の国~フランスの政治姿勢をユニヴァーサリズムの視点から分析します。」次の山田文比古氏の本とはアプローチの仕方は異なりますが、これも、フランスとはどういう国かを知るだけでなく、それでは日本はどうなのかと考えさせられる本です。
著者は現役の外交官で、2003年から駐フランス公使を務めている人です。
出版社のHPでは次のように紹介されています。
「米国一極支配に対抗するフランスの秘密とは。GDPでは日本の半分以下のフランスが、自主独立外交を展開し、国際社会で存在感を保ち続ける秘訣はどこにあるのか? 在仏日本大使館公使の経験をもとに解き明かす、知られざるフランス外交の真実。」国際社会におけるフランスの政治・外交戦略を知る上で大変有益であると同時に、日本の政治・外交について考える上でも示唆に富む本です。
「英語とアングロサクソンのメディアの影響力は、グローバリゼーションの進行とともに、ますます大きくなるばかりである。日本もその例に漏れない。イラク問題を巡る報道には、そのことが顕著に現れた。本書では、少なくとも、フランス側から見れば事態は違って見えていた、ということは示し得たと思う。色眼鏡のたとえを読んだとき、大学院時代に指導教授からまさに同じようなことを言われたのを、懐かしく思い出しました。
アングロサクソンであれフランスであれ、どちらも色眼鏡には違いないが、複数の色眼鏡で見れば、少なくとも複眼的かつ立体的なものの見方は可能になる。もちろん、日本独自の眼鏡を持つことが一番重要であることは言うまでもない。そのためには、情報収集力の強化も徹底的に図っていかなければならない。」
日本人が漠然とイメージするフランスと、今のフランスの実情は大きくかけ離れている。文化、宗教、民族、地理的背景の異なる大量の移民が流入する現代フランス社会には、複雑でデリケートなたくさんの問題が起きている。数百万人といわれる正式な国籍を持たない移民たちは、どのように暮らしているのか。公立校でのスカーフ着用、一夫多妻制、性器切除などの、移民たちがもたらした非フランス的な習慣は、どのような状況を生みだしているのか。精力的な現地取材に基づいて、荒れる郊外地区、宗教・民族対立、人種差別、極右の台頭など、現代フランス社会が抱える問題を浮き彫りにするとともに、それと闘う人たちの声を紹介する。果たして、今のフランスは「住めば都」といえるだろうか。
著者は1990年から産経新聞パリ支局長としてフランスを「取材」している。この本の帯には次のような宣伝文句が書かれている。
「なぜ、フランスは強いのか。国際社会で独自の地位を堅持するフランス。リーダーになれない日本。ゴーンやトルシエは、私たちとなにが違うのか。」宣伝文句だから刺激的な言葉を使っているが、それはそれでよい。大切なのは、自分を知るためには他を知らねばならない、ということである。
著者は1995年から99年まで時事通信社パリ特派員。やはりジャーナリストらしく、政治や社会の分野に話題の焦点が絞られているが、日本では知られていない(あまりに知られていない!)フランスの--フランス人の--姿が見えてくるだろう。「あとがきとして」によれば、「フランス社会の雰囲気を、そのまま再現できないだろうか」と思ってまとめはじめたのが執筆の動機とのことで、「日仏の比較は意図的に避けたが、フランスの姿を通じて、数ある国のなかで日本だけが《特殊》な国でないこともわかってもらいたかった」とある。
どの国にも、別の国から見たらびっくりするような《特殊》な点がいくつもあることを知ることによって、《日本特殊論》のような思い込み、《****一辺倒》のような思い入れから自由になる -- それがおそらく著者のねらいだろう。
上に紹介した山口昌子氏の本と続けて読むと良い。
日本人がフランスに対してもっている(もっていた)イメージと、現代のフランス・フランス人とを比較しながら、フランスについて論じている。フランス語を専攻する学生ならこの本も読んでおくべきである。
この事典を使えば、フランスの関する様々なこと-歴史、地理、法律、経済、教育、学術、etc.-を知ることができる。値段が高いので、普段は図書館で利用すればよいが、フランスに留学する人は持っていった方がよい。
事典とあるが、読み物としても十分楽しめる。フランスとフランス人をさまざまな角度から眺められる本。
フランスの全体像を知ろうと思ったら、まずはこの本を読むとよい。写真・図版が多いのも、初心者にはありがたい —— という本だったのだが、もう絶版か品切れのようだ。図書館で読むしかなさそうである。(長崎外大の図書館にはおいてある。)
これもフランスについて紹介した本としては基本図書の一つだったが、少し情報が古くなってきているか・・・ いまでは古本でしか手に入らないようだ。(長崎外大の図書館にはおいてある。)
フランス史はまずこの本からに入るとよい。新書版ではあるが、コンパクトにフランスの歴史をまとめている。値段も学生が買うには無理がない。岩波書店のWebサイトでは以下のように紹介されている。
激動の軌跡を、グローバルな視点からたどる
フランスというと、日本では「自由・平等の国」、革命によって民主主義的な国民国家をつくった国、というイメージが強いのではないでしょうか。本書を読むと、その歩みは、フランス革命以降も「自由」「平等」という二つの相矛盾する理念の相克に悩みつつ共和主義への道を模索してきた、文字通り激動の歴史であったということがよくわかります。
また、「国民国家」という枠組が再検討されつつある今、「ヨーロッパ地域世界」の中でのフランスの位置づけも、従来の一国史的枠組をこえる視点から見ることが必要とされています。本書ではフランス史研究の第一人者が、長年の研究成果に基づいて、グローバルな視点から斬新なフランス史像を提供します。フランス史という西洋史の一部だけでなく、日本史を理解するうえでも役に立つ一冊です。各講に関連年表付き。
個人でまとまったフランス史(通史)を1冊買うならこの本だろう。新しい歴史学の方法を取り入れ、社会経済史の観点からの考察にかなりの比重をおいているが、その反面、文学・芸術・思想に関する事柄が割愛されているのが、私には不満である。次に紹介する井上幸治編『フランス史(新版)』もあわせて読むことを勧めたい。
新版と銘打たれているが、実際には1975年(つまり20年以上前)に出たもので、1960年代のフランスまでで終わっている。しかし、伝統的な歴史叙述のスタイルで書かれているので、上に紹介した福井憲彦編『フランス史』よりもむしろ読みやすいし、フランス史の基礎知識という観点からも、こちらの方を先に読むことを薦めたい。(現在は絶版で手に入らないが、本学ライブラリーにあるので、それを借りればよい。)
なお、付録の「便覧」に収められた貨幣単位、度量衡、暦法は、他の歴史書では調べにくいものなので、今もって十分役に立つ。
長い間、日本語で読める本格的なフランス史の通史が刊行されない状態が続いたが、このほどようやくこの3巻本がでた。フランス史を学ぶ上での基本図書である。各巻の内容は以下の通り。
フランスの歴史を詳しく知りたい人のために。
少しレベルは高いが、この程度は読めなくては。
歴史的な視点からヨーロッパを理解するための基本図書のひとつ。
国家中心の歴史ではなく、ヨーロッパ全体を見渡す、ヨーロッパ人のためのヨーロッパ史の試み。
ヨーロッパの歴史を知っていれば、ヨーロッパにおけるフランスの位置もよくわかってくる。ぜひ読んでおこう。
ヨーロッパといってもさまざまであることを知らねばならない。精神的、文化的な視点からヨーロッパを理解するために。
放送大学の教科書だが、日本の研究者のほとんどが気づいていない--したがって従来の類書にはほとんどない--「普遍的人間教養(パイデイアー、フーマニタース)」という重要な観点から、しかも歴史的構造としてのヨーロッパを論じている。ヨーロッパとは何か、ローマ、キリスト教社会、自然法と法などを論じた章はとくに注目すべきだろう。入門書としても使えるが、内容的には大変レベルが高く、学生にもぜひ読んでもらいたい本である。
(放送大学教材として出版されたものだが、授業内容--および教科書--が変わったため、もう手に入りにくくなっているのが残念。)
世界史は教養の基礎。本学ライブラリーに全巻そろっているので、フランス・ヨーロッパを知ろうとするなら例えば古代ギリシャ・ローマから初めて、中世ヨーロッパ、ルネサンス、近代とたどってゆくとよい。
なお、長崎外大図書館には他の出版社から出された世界の歴史シリーズが他にも何種類かあるので、必要に応じてそのあたりも見ておこう。
フランス各地に伝わる俚諺(りげん:民間に伝わる簡潔で含蓄に富む短い言葉)を紹介しつつまとめたフランス民俗文化誌、歳時記。フランス人の伝統的な日常生活を1年間の暦に従って知りたいという人にも大変役に立つ。
放送大学教材だが、劇文学を大幅に取り入れるなど新しい観点からフランス文学をとらえなおした斬新なフランス文学入門書(といってもレベルは非常に高いので、専門家も一読の要あり)。従来の常識(中世から現代まで)に反し、あえて17世紀からはじめたところにも、新しい切り口からフランス文学を語ろうとする著者の姿勢がはっきり示されている。教科書としては例を見ない450ページ近い「大著」であるが、とにかく読んでみるとよい。(学生に買わせるには躊躇してしまうような値段なので、買って読めとは言わない。図書館を利用すること。)
中世から現代までの主な作品を取り上げて解説しながらフランス文学の特徴と、文学作品の読み方を解説している。放送大学のテキストとして書かれた本だが、一般書としても十分な読みごたえがある。フランス文学入門はまずこの本で。
(放送大学教材として出版されたものだが、授業内容--および教科書--が変わったため、もう手に入りにくくなっているのが残念。)
きちんとフランス文学史を勉強しようと思ったらこの本がよい。
コンパクトにまとまったフランス文学入門書。値段が安いのも魅力のひとつ。
主要作家、主要作品を取り上げて解説。文学史年表は簡潔にまとまっているし、重要事項解説も便利。上手に使えば大変役に立つ。1980年出版なので、せっかくの翻訳文献・参考書案内が今では古くなってしまった(その後絶版になった本が多く、またこの16年間に出版された本もだいぶある)のが残念。
ジャンル別の本格的文学講座。構成は次の通り。
ごく初歩的な内容だが、キリスト教のことを全く知らない人は、まずはこのあたりから読んでみると良いだろう。
キリストを信じることにおいては同じなのだが、カトリックとプロテスタントにははっきりした違いがある。共通点と相違点を知りたいという人のためには、まずこの本を薦める。
なお、長崎外国語大学はプロテスタントのキリスト教主義学校であるが、フランスは基本的にはカトリックの国である。
そして、わたし戸口はカトリック信者である。以下に紹介するのは、カトリック信者として推薦する本である。
カトリックとは何かを知ろうと思ったら、まずはこの本をすすめたい。カトリックの信仰の基本を、明快な文章とわかりやすいたとえを用いながら説明している。
カトリック信者の人も、要理は子供の時習ったからいいなどと横着なことを言わず、ぜひ読んでみるとよい。
(出版社のサイトによると品切れ・重版未定とのことですが、amazon.co.jp で中古品が入手できます。)
2004年度まで、本学で「スペイン史」を担当してくださった尾崎明夫神父によるキリスト教(カトリック)入門です。
尾崎神父のユーモアあふれる「みなさんちょっと聞きなはれ-- 中学3年生のための哲学入門 -- 」もぜひどうぞ。尾崎神父がかつて長崎精道中学校・精道三川台中学校の3年生を相手に授業をしていたとき、生徒たちにあてて毎週せっせと書いた手紙がもとになっています。中学生相手の文章と侮ってはいけません。大学生、社会人が読んでもなるほどと思わせるものです。
同じく尾崎神父の「高校生のための哲学・倫理学入門」、「世界の窓」もあわせておすすめします。
「神父さまのお説教、眠れません!」と苦情?続出。助っ人司祭による歌あり、クイズあり、プリントあり、フラッシュカードあり、寸劇あり、しかも内容充実の説教集。お堅い要理の基礎知識をユーモアで柔らかく包んだ教会報の連載エッセイも収録。カトリック宝塚教会における説教の新たな試み。
(教友社Webサイトでの紹介)
もっと本格的に取り組んでみようと思う人はこれを読むとよい。以下はカトリック中央協議会のホームページの解説である。
『カトリック教会のカテキズム』は、1992年12月に初版が発表された「聖書、使徒伝承、教会教導権によって述べられ、あるいは、これらに照らして明確にされた教会の信仰とカトリック教理の解説」(教皇ヨハネ・パウロ二世使徒憲章「ゆだねられた信仰の遺産」より)です。教皇任命による編纂委員会が6年かけて完成させました。 その後、1997年9月9日に80数箇所の文章を修正した規範版がラテン語で発刊されました。この日本語版カテキズムはその規範版の翻訳です。
バチカンによるカテキズム(=カトリック要理)の20世紀版集大成といってよい。カトリック信者でない人にもすすめる。
詳しい内容については、カトリック中央協議会のホームページのカトリック教会のカテキズムのページを参照されたい。
上に紹介した『カトリック教会のカテキズム』要約。以下はカトリック中央協議会のホームページの解説である。
本書は、『カトリック教会のカテキズム』の「忠実かつ確実な要約」です。
本文は598の問いにより構成された問答形式で「教会の信仰の本質的かつ根本的な要素」を「簡潔な形で」提示しています。したがって、信者はもちろんのこと信者でない人にとっても、「カトリック信仰の全貌を見渡しながら把握」するための「便覧」となる書籍です。また、節目ごとにカラーの聖画図版とその解説が挿入されており、それらも教理理解のために主要な役割を果たしています。
個人でカトリックの教理を学ぶための読み物としても大変便利ですが、教会の要理勉強会や求道者向けの勉強会、またカトリック学校における宗教の時間の読本としても最適です。
さらに追求したいと思ったら、岩下壮一神父のこの本がよいだろう。ただし、少し難しい。
なお岩下壮一について知りたい人には、小坂井澄『人間の分際 神父岩下壮一』(聖母の騎士社/聖母文庫、1200円)と、重兼芳子『闇をてらす足おと』(春秋社、1450円)をすすめる。
イエスという存在が気になる人に、またその教えに関心がある人に、ぜひ読んでほしい本。
神は実在するのか? イエス・キリストは真に神であるとともに人間でもあるのか? イエス・キリストとは一体いかなる「存在」なのか? その教えとは?
これらの問いに対して、著者は正面から取り組み、答えを出そうとしている。本書を読み進むうちに、イエス・キリストの「謎」に気づくはずである。もしもイエスが(たとえどれほど天才的な人物だったとしても)単なる人間にすぎず、ユダヤという当時の世界の片隅の小さな国の小集団のリーダーにすぎなかったとしたら、その惨めな死の後、生き残った少数の取るに足らぬ弟子達の力だけでもって、キリスト教はあのように発展し、しかも今日まで続いているだろうか・・・
「こんなに面白い本が、どうして今まで日本語に翻訳されないでいるのだろうか」というのが翻訳者が最初に抱いた感想だったそうだが、わたしもこれを読んでまったく同感した。実際、知的で、ユーモアがあって、しかも真面目な面白い本である。
本の帯には次のように書かれています。「歴史のイエスと信仰のキリストが分裂しつつある現代、偉大な神学者である現教皇が、最新の聖書解釈学の成果をとり入れつつ、分裂を架橋し、父なる神と常に向き合って生きた真のイエスの姿を提示する。 」著者自身が語る言葉を以下に紹介しましょう。
[私は]福音書のイエスを真のイエス、本来の意味での「歴史のイエス」として描くことを試みました。(p.13.)
イエスは一体何をもたらしたのですか。(・・・)答えは神です。彼は神をもたらしたのです。(・・・)真の神を、イエスは世界のすべての人たちにもたらしたのです。(p.71-72)
人間は窮極的にはただ一つのこと、そこにすべてのことが含まれている、ただ一つのことを必要としているのです。人は目先の願いや渇望を通して、彼が真に必要としているもの、真に欲しているもの知ることを学ばなければなりません。人間は神を必要としているのです。いろいろの象徴言語の後ろに、究極的にはこのことがあるのです。イエスは私たちに神を与えるからこそ、彼は私たちに「いのち」を与えるのです。彼は自ら神と一つであるからこそ、彼は子であるからこそ、彼は神を私たちに与えることができるのです。彼自身が賜なのです。彼は「いのち」です。まさにそれゆえに、彼は本質的に分かち合いであり、[他者のための存在」であるのです。このことはまさに、彼の真の高挙である十字架において現れるのです。(p.442)
ローマ教皇が、ジャーナリスト(ヴィットリオ・メッソーリ)の質問に答えて、「救いとは何か」「いかに祈るか、なぜ祈るか」「神が存在するなら、なぜ現れないのか」「世界に悪が存在するのはなぜか」「なぜ神は苦しみを無くされないのか」「信仰は何の役に立つのか」といったテーマについて率直に語っている。終始一貫して「恐れることはない」という励ましが響きわたる。
カトリック教会が人間の命をどうとらえているかを知るためには、まずこの本を読むとよいでしょう。
宗教は非科学的なものというのは間違った先入観である。信仰と理性とは相反するものでは決してない--というのがキリスト教の、とくにカトリックの基本的な立場である。少し難しいかもしれないが、宗教とか信仰とかについて考えようとする人には是非読んでもらいたい本である。
キリストへの信仰を語る書としては、まず聖アウグスティヌスの『告白』を薦めたい。アウグスティヌスについては、山田晶『アウグスティヌス講話』(新地書房、1986年)もあわせて読むとよい。
古代教父を代表するのが聖アウグスティヌスであるとすれば、中世の教父を代表するのが聖トマス・アクイナスであろう。神学書としてだけでなく、西欧式論理学のお手本として読むこともできる。問いと答えの積み重ねによって、論理的に証明を進めて行く基本的な姿勢を読み取ることも大事である。
なお、聖トマス・アクイナスについては、稲垣良典『トマス・アクイナス』(講談社学術文庫、1999年)もあわせて読むとよい。
『パンセ』はキリスト教弁証論として構想されたもので、懐疑論者や無神論者に対してキリスト教の正しさを論証することがパスカルの目的だった。しかし、原稿の完成を待たずにパスカルは死に、原稿は未完のまま、多くの断章の束として残された。彼の遺族・友人たちが残された原稿をもとに『死後遺稿のうちに見いだされた、宗教その他若干の問題についてのパスカル氏の思想(パンセ)』として発表したのが、題名の由来である。人間の存在について、また信仰についての、深い考察が示された書である。
『パンセ』の翻訳は何種類もあるが、とりあえず次の本を紹介する。
『パスカル』前田陽一編、中央公論社、「世界の名著24」、1966年。現在は中央公論新社の「中公バックス」(世界の名著29)に収められている。よかったら私のエッセーのページに掲載してある「うず潮」の記事も見てください。
なお、『パンセ』とはどういう書物かについては、塩川徹也『パスカル『パンセ』を読む』岩波書店(岩波セミナーブックス80 )を読むといい。
カトリック教会の基本的な姿勢を知ろうと思ったら、少し難しいが第2バチカン公会議の文書を読むことだ。特に重要なのは「教会憲章」と「現代世界憲章」である。
「教会憲章」は教会とは何かを示したもの。また「現代世界憲章」は現代世界をカトリック教会がどのように考えているか、そしてカトリック信者は社会のなかでどのように生き、また世界に対してどう関わりかつ働きかけてゆくべきかを説いたもの。
なお「教会憲章」「現代世界憲章」は、それぞれカトリック中央協議会編(中央出版社刊)の分冊の形で読むこともできる。
カトリック教会の社会教説とは、社会に生きる人間が直面するさまざまな問題--政治的、文化的、経済的、社会的な問題--を取り上げ、教会の信仰と教義にてらしながら、それらの問題をどうとらえるべきか、また問題の解決に向かってどのように取り組むべきかを示したものです。社会教説の端緒となったのは、1891年、レオ13世教皇による回勅『レールム・ノヴァールム』でした。それから1世紀以上にわたり、教会はその時々の課題に対し、教会の見解を発表し続けています。
最後になってしまったが、まず第一に読むべきはむしろ『新約聖書』とくに四つの「福音書」である。イエス・キリストを知るにはこれ以上の書物はない。
長崎外国語大学・短期大学では新共同訳の聖書を使っているが、私としてはきちんとした注がついているバルバロ神父訳の『新約聖書』(講談社)を薦めたい。イエスが用いた「たとえ」一つ取っても、注なしには理解しにくいことや、最悪の場合には反対の意味に受け取ったりすることさえあるからだ。
自分勝手な読み方を避けるためにも、教会の伝承(カトリック教会では「聖書」と「聖伝」の二つをともに重視する)に従った注は必要不可欠である、とカトリック信者である私(戸口)は信じています。
旧約聖書とあわせてもっていたいという人は、同じバルバロ訳の『聖書(旧約 新約 聖書)』(講談社)を手に入れるとよいでしょう。
フランス語で聖書を読みたいという人には、la Bible catholique Crampon(le chanoine Crampon訳--旧約・新約聖書の全訳です)を薦めます。
Crampon訳聖書があるJesusMarie.comのサイトには、カトリック関係のさまざまな--ほんとうにたくさんの重要な--文書がおさめられています。フランス語上級者で関心のある人は、ぜひ挑戦してみてください。
たとえば次の本などを持っていると、日本についてフランス語で説明するとき非常に便利。フランスに留学する人は少なくともどれか一冊はもって行きたい。フランス人留学生がきたときにも役に立つ。
フランス語による日本解説書。日本語は全く使われていない。手ごろな値段に、ページ数(160 p.)の割には薄くてコンパクトなサイズ(教科書版)、それにカラー写真もたくさん収められているので、フランスに持ってゆくにはちょうどよさそう。ただし、日本語は全く使われていないので、気をつけるように。
この数年間、品切れで入手不可能な状態が続いていたが、最近にようやく重版され手にはいるようになった。(2007.4.16.)
なお、これはもともと英語による日本紹介本
『The Japan Book』講談社インターナショナル、2002年、998円
の仏語版である。英語版も利用するとよいだろう。
(参考まで)同じ出版社から、このシリーズのスペイン語版や中国語版が刊行されている。
【ドイツ語版】『Japan-Buch』2005年、1,260円
【スペイン語版】『Todo Sobre Japon』2003年、1,260円
【中国語版・簡体字】『日本之窓』2004年、1,575円
【中国語版・繁体字】『日本之窓』2004年、\1,575円
【韓国語版】『ハン グオンウロ イルグニン イルボン』2004年、1,575円
【アラビア語版】『Alyaban』2004年、1,680円
2冊でセットだと思えばよい。フランス語の解説のみで、日本語はタイトルや見出しだけ。
日本語を学ぶフランス人を対象にかかれた本。中・上級者向けの本ですが、最後の和仏-仏和小辞典は、語彙は限定されていますが、フランス人学習者だけでなく、日本人のフランス語学習者にとっても役に立つ本です。
相羽氏はこれとは別に、同じシリーズで次の2冊を出しています。
・Parlez japonais en 40 lecons (初級日本語)
・Le japonais tout de suite (短期決戦方日本語)
出版社のホームページでは次のように説明されている。
「フランス人は日本のことをどこまで知っているのか、どんなことを知りたいと思っているのか? 本書は日本のことについてフランス人が知りたがっている100の項目を選び出し、生活、趣味、文化、政治、経済等についてフランス人に分り易く説明できるようになっています。フランス人を案内するお伴に、フランス旅行に欠かせない一冊。」
以下のことが話題になっている。
1 地理・自然、2 家庭、3 生活、4 食べもの・飲みもの、5 住まい、6 社会、7 政治・経済・制度、8 伝統文化、9 宗教、10 スポーツ、11 趣味・娯楽
フランス語で日本のことを説明する時に役に立つ。日仏対訳の説明に、多くの場合写真が添えられている。
以下のことが取り上げられている。
営み・人生、生活様式、社会生活、遊び&レジャー、自然、伝統文化、宗教、国の制度、主な観光スポット、地理・気候・風土
日本語と英語による日本紹介(記述式)。英語の勉強もついでにしながら、あとは自分でフランス語に訳してみよう。1年の後半あたりから。
日本の状況も変わっているので、最新版(〔第9版〕2010年)を手に入れるように。
長崎という町が日本ではいかに特異な存在だったかを、「株式会社」というキーワードを用いて見事に説明している。長崎の歴史を知るための基本図書でもある。
コンパクトな長崎案内として使える本。この本をガイドブックにして長崎を歩き回ってみるのもよいだろう。ただし、そうする前に、上に紹介した赤瀬浩氏の本をぜひ読んでおいてください。
長崎の鐘で有名な永井隆の生涯を紹介した本。著者はオーストラリア人神父で日本にも20年以上在住した経験あり。
一般書店には置いていないが、カトリックの書店に行くとおいてあったりする。長崎なら、たとえば浦上教会(浦上天主堂)下のサンパウロ書店で見かけました(2006.12.)。
あるいは、以下に直接注文することもできる。
〒635 奈良県大和高田市大中南町6-11 高田カトリック教会
フランス語に限らず、外国語を使って外国人とコミュニケーションをするにはどうすればよいか、すこしまじめに考えてみよう。外国語学習者必読。
「ことば」とはいったい何だろう? なぜ「母国語」ではなく「母語」と言うべきか? 戦闘的かつ挑発的な「ことば」論。少し難しいが読んでおきたい。
「文化」を「ある人間集団に特有の、親から子へ、祖先から子孫へと学習により伝承されていく、行動及び思考様式上の固有の型(構図)」(本書「まえがき」より)と理解するとき、「ことば」には「文化」がどのように反映されているか、「ことば」と「文化」とはどのように関わりあっているか? まずはこの本を読みながら考えてみよう。
世界において日本語が占めるべき位置は? 著者の見解に同意するか否かは別にして、言葉を学ぶものとして考えるべきテーマであることは間違いない。
構造言語学や言語道具説などの言語理論は、言語の本質をよくとらえているだろうか。科学的な言語論の確立を意図して書かれた本書では、客体的表現の語と主体的表現の語という独自の視点から、言語の本質が説明される。そこでは、孤立語である中国語や屈折語とよばれる英語などにくらべて、膠着語に属する日本語が、どのような特徴や構造をもつかが、わかりやすく述べられている。日本語を理解するためには不可欠の書といってよい。
(講談社学術文庫版・カバー紹介文より)
「主語」「述語」というとらえ方では日本語は理解できない。「主語」ではなく「題目」ととらえるべきである・・・。少し難しいが、一度は読んでおきたいユニークな日本語論。
「は」と「が」はどう違う? 留学生からそう聞かれて答えに窮した経験はないだろうか。「日本語にももちろん『ことばのきまり』はあるが、日本『文法』はまだない、と考える方が実際的である。学校で教わったとか教わらなかったとかいう国文法というものはどういうものかというと、あれは国文法という名の第二英文法である。日本語の『ことばのきまり』を述べたものではない。」(本書132頁)という三上の主張を、きみはどう受けとめるだろうか?
レポートや論文もちゃんと書けなくては。
大学生になったら必ずレポートや論文は書かされるが、大学を卒業した後も、企業・官公庁・その他様々な組織や機関で責任のある仕事をしようと思ったら、報告書・企画書・調査研究レポートなど(つまりはレポート・論文)を書けないとどうにもならない。大学にいる間に、レポート・論文の書き方をしっかり身につけておかなければ。
インターネット上では、まず次の2つのサイトを推薦します。
・小論文・レポートの書き方
とくに最初の「論文の構造」「パラグラフ」の2つを読んでください。
・レポート・卒業論文の書き方(早稲田大学政治経済学術院 須賀晃一先生のサイト)
とくに最初の「第Ⅰ部 レポート・卒業論文の書き方」を熟読してください。
卒業論文を書く人は「第Ⅱ部 卒業論文の書き方」「第Ⅲ部 卒業論文作成時の手引き」もどうぞ。
戸口ホームページのレポート・論文の書き方もあわせて見ておいてください。
フランス語・フランス文学の分野での研究方法や卒業論文の書き方については、次のふたつは必見です。
・上智大学仏文科「フランス文学研究方法論」
・京都大学・東郷雄二先生のサイト のなかにある「私家版 卒業論文の書き方」(フランス語学・言語学)
しかし、どうアイデアを整理したらよいのか、そこがなかなか難しい。
そんなときに役に立つのが「マインドマップ」というツールです。アイデアをまとめる方法として使えるだけでなく、フローチャートやアウトライン作りにも便利につかえます。「学生に推薦するフリーソフト」のなかの「レポート作成ツール -- アイデアをまとめるためのソフト」を見てください。
レポート/論文のような「仕事の文章」を書くための文章技術の基本として「パラグラフ・ライティング」がある。欧米とくにアメリカで普及しているものだ。
仕事の文章の基本は、しっかりとしたパラグラフを書くことから始まる。それを知らなけらば、いくらレポート/論文の書き方・組み立て方を学んでも、論理的な文章を書くことはできない。パラグラフ・ライティングの技術を身につけると、アイデアを整理し、論理的に - 読む人にもわかりやすく - 要点を伝えることができるようになる。
まずは『週刊東洋経済』2012.12.22.に掲載された書評をみてみよう。
書評にもあるように、「パラグラフ・ライティングの習得法をビジネス文書に適用した」例文が--随所で良い例と悪い例の両方を対比させながら--豊富にあげられているから、何をどうすればよいか、どこがポイントか、などということがよく分かる。手に入れて読んでみることを強く薦める。
パラグラフ・ライティングの基本については、Basic Paragraph Structureが参考になる。
倉島保美氏が主宰する「ロジカルスキル研究所」のサイトからも有益な情報を得ることができる。
受験対策で小論文の勉強をした人もいるだろうが、小論文はレポート、論文など、仕事の文章を書くための基本である。高校時代に訓練をした人には復習の意味で、あいにくその経験のない人は今から勉強する気持ちで、次の本を読んで(読み直して)みるとよいだろう。
次におすすめする2冊は全く対照的な立場から書かれた、(主として)大学受験対策のための小論文参考書だが、大学在学中も卒業後も大いに役に立つ本だと思う。面倒がらずに両方とも読み、それぞれの著者のアドバイスを受けとめた上で、自分にあった方法を身につけていってもらいたい。
本の帯には「受験小論文の神様」がテクニックを大公開!とあり、タイトルとあわせて見るといかにも「あざとい」感じがするが、内容は非常にしっかりしている。
まずは小論文の「型」をおぼえることに焦点を絞り、とにかく型に合わせて自分でも書いてみるよう促しているところは、非常に実践的(かつ実戦的)だ。
「文は人なり」ではない、「ありのままに書け」でも「自分の言葉で書け」でもない、文章とは「自己演出」だ。だから、どう書いたらよい点数が取れるか、どう表現したら自分をアピールしてできるか、まずはそのテクニックを徹底的に教えてあげるから、君もしっかり身につけてくれよ
― というのが著者の基本姿勢である。
これは芝居心にも通じることで、演劇を専門分野にしている私にはとてもよくわかる。自己を表現したいとおもったら、まずは「自己」を演じてみようではないか、と私も言いたところだ。
ついでに言えば、これは外国語の学習にも通じることである。外国語を身につけようと思ったら、その言葉で「演技する」ことを心がけたらよいだろう。
『ホンモノの文章力』のいわば姉妹編に当たるのが次の本。フランス式論理入門というふうに読むこともできるので、あわせて読むと良い。
樋口裕一が「実戦的演技派」だとすれば、こちらはむしろ「哲学的実践派」と言えるだろう。
論文には「正解」はない。(・・・)論文とは一人一人が考えてゆく作業そのものであり、また考えてゆくプロセスを他者に向かって提示することであって、どこかに模範があるのでもない。そして、書くことの原動力となるのは、自分で発見したり納得したりすることの悦びと自由の感覚なのである。小論文は「自分の生き方や社会の在り方についてあらためて考えてみる」ための手がかりとなるものであり、「この本が狙いとしたのは、試験のための小手先のテクニックを教えることではなく、あくまでも入試問題を素材として思考と書き方を訓練すること」というのが著者たちの基本姿勢である。 何のために論文を書くのか、じょうずに「考える」ためにはどうしたらよいか、論文を書くことを通じて自分は何を見いだすのか、というような問いを、この本を通じて自分自身に問いかけてほしいと思う。
大学で何を学ぶかと言えば、それは「考えるための方法」と「調査・研究の技術」につきるだろう。レポート・論文は、そのために必要不可欠な訓練の手段である。
レポート・論文の書き方の入門書は数多いが、1冊ですべてを満足させてくれる本はない。論文を書く技術を身につけるためには、何冊か読んで必要な知識・情報を補っておいた方がよいだろう。
論文の書き方の参考書はいろいろとあるが、1冊選ぶとしたらこの本。コンパクトな割には明快かつ実際的。ここで具体的に示されている基本的な「型」や「ルール」は、大学生のレポートから本格的な研究論文までカバーするものである。本書の最後に実例として収録された論文は、専門レベルの論文がどのようなものであるかを具体的に知る上でも役に立つ。
まともなレポートを書きたければ、「事実」と「意見」の区別ぐらいは知っておかねばならないのだが、この問題をまともに取り上げている本はほとんどない。また、「主題」に決め方、「パラグラフ」の考え方など、学生だけでなく教師にとっても大変参考になる。実例・参考例がいろいろと紹介されているので、それも丹念に読むと良い。文章を書きレポートにまとめる際に、どういった点に注意すればよいかを具体的に知るためには、これらの実例がヒントや手がかりになるからである。
上に紹介した『レポートの組み立て方』以前に書かれたものだが、理科系だけでなく文科系の学生・教師・一般社会人にも大変参考になる文章技術入門書。『レポートの組み立て方』は大学・短大で教科書として使うのに向いている本であるのに対して、『理科系の作文技術』はむしろ一般向けの本と考えてもよいだろう(もちろん理科系の学生向けの本でもある)。だから、どちらか1冊を選べばよい。
100ページ強という限られた枚数(しかも行間や余白をかなり贅沢にとったページレイアウト)のなかで、レポート・論文の書き方を説明している。これなら学生諸君も、量の多さにうんざりしないで、全部を読み通すことができるだろう。
この本の第一の特徴は「形式」へのこだわりにある。実際に、学生諸君にまず覚えてもらいたいのは、レポート・論文にははっきりした「形式」があるということだ。形式を覚えればレポート・論文がとりあえずは書けるようになる、ということでもある。第二の特徴(そしてこの本独自のもの)は「テキスト批評」を具体的に紹介している点にある。論文を書く前の訓練としてとらえると、確かにこの方法は実践的かつ有効である。そして第三の特徴は、引用の仕方、注の付け方、参考文献表の作り方について、他の類書よりもずっと具体的に説明されていることである。この3点だけでも一読の価値は十分にある本と言えるだろう。
ビジネス系のレポート・小論文参考書を1冊推薦するならこれ。例文やアドバイスも、すでに実務に就いているビジネスマンが接する(読んだり書いたりする)であろう文章を念頭に置いて選んである。
ビジネスマンだけでなく、学生が授業のレポートを書くための参考書としても使える。とくにビジネスマンにやがてなるはずの学生諸君には、一読をすすめたい。
レポート/小論文の書き方だけをいくら勉強しても、実際には良いものは書けない。ものの見方・考え方についても訓練する必要がある。
まず第一に推薦するのはこの本。
常識的なものの見方、先入観にとらえられたものの見方しかできなければ、良いレポートや論文は書けない。しかし、さまざまな角度からものを見たり、考えたりすることができるようになるためには、知的訓練が必要である。この本を読んで「複眼」的にものを見る眼を養おう。
何について書くかが決まっていなければ、文章を書くことすらできない。この本を読むと、おもしろいテーマはいたるところにあることがわかるはずだ。どんなテーマがあるかは、まず君自身がこの本を読んで探すとよいだろう。各テーマごとにていねいな解説つきのブックガイドがあるのも親切な配慮である。
(あいにく品切れまたは絶版になってしまいました。こういうガイドブックがあるとよいのだが・・・)
大学生活の締めくくりは卒業論文であるから、とりあえずはそのあたりを最初のゴールにしよう。もちろん、その先は終わりがない。
論文とは「問い」に対して明確な答えを主張し、その主張を論証するための文章である。作文の苦手な大学生「作文ヘタ夫」を相手に、戸田山先生が論文の書き方を指導するという体裁を取りながら、学生が読むに耐える論文を何とか仕上げるまでをたどってゆく。学生の名前のつけかたにも見られるように、意図的に「おふざけ」調の文体を採用しているが、内容は具体的かつ実践的。論理的に文章を書くためのノウハウ、説得力を高めるための方法、論証のテクニック、自説を補強するための反論のしかたなど、いずれも丁寧に解説されている。とくに論文のアウトラインの作り方を丁寧に紹介しているところは再読、三読にも値する。
「──論文というのは、自分の頭でものを考えるために長い年月にわたって練り上げられた古典的な形式なので、ビジネスだろうと政治だろうと、なんにでも応用がきくのです。優れた論文作成能力を獲得している人は、優秀な学者になれるばかりか、優秀なビジネスマンにも、優秀な政治家にもなることができるのです。(・・・)というわけで、本書はたんなる『論文の書き方』を超えた、ビジネスその他にも応用可能な汎用性を目指しています。」(「あとがき」より)
ここで解説されている問題の立て方、資料の集め方、論文の組み立て方(序論、本論、結論の書き方)などは、卒論を書くときにもそのまま応用できる。
学術系の参考書を1冊推薦するならこれ。レポート・小論文のための参考書としても使えるが、むしろ本格的な論文を書くための入門書と考えた方がよい。
澤田昭夫氏は歴史の専門家なので、例としてあげられているテーマなども歴史関係からとられたものが多い。歴史を専攻する学生、歴史が好きな学生には特におすすめである。
少し難しいかもしれないが、本格的な論文を書こうと思ったら、大変参考になる。文学部の学生には卒論対策のための必読書と言えそう。なお、随所にエコ先生の皮肉とユーモアがたっぷりきいていて、読み物としてもなかなか面白い。
日本語がなっていなければ、まともな論文も書けない。文章のセンスを養うには良書を多数読むしかないが、レトリックについて学んでおくと言葉に対する認識がもう少し深まるはず。
さらにレベル・アップをという人のために。
言葉では到底表現できないような「思い」「イメージ」「体験」を、それでもなお表現しようとしたら、一体どんな言葉でもって表現するのか? 芥川、太宰、川端など、日本人なら誰でも知っている作家達の文章を例にあげながら、レトリックについて解説しつつ、あわせて人間と言語についても論じている。
ことばに対する認識が深まる本である。
上の本の姉妹編。両方読むとよい。
なぜコンピュータを使うのか、コンピュータはどういう使い方ができるのかを知るためには、まずこの本を読むといい。文科系の人間にこそコンピュータは役に立つし、また必要な道具なのだということを説得力をもって主張している。英語以外の外国語をやる人には特に参考になる点が多い。
変化の激しいコンピュータの世界であるから、1996年刊の本書の情報には、部分的には古びてしまったものもあるが、基本的な考え方は今日でも示唆に富むものである。
どちらもテキスト処理のための良き参考書。「コーパス言語学」の専門家ではなくとも、教育や研究の分野で外国語のテキストデータを利用したいと考えている人に推薦する。
なお、中尾氏には他にも
著者は日本でのインターネットの草分け。インターネットとは何か、何ができるか、現在どういう問題や課題を抱えているか、今後の展望は・・・など、この本を読めばひととおり理解できるだろう。
上掲書のいわば続編にあたる。そのわずか3年間で、インターネットは著者の予想もはるかに越えて急速に普及し、われわれの生活にもすでに大きな影響を与えはじめている。インターネットをどう使っていったらよいかを考えるため、「本書は、すべての人のためのインターネットが、すべての人によってつくられてゆくときに、少しでも役に立つことを願って」書かれている。
これら2冊も今となってはインターネット入門書の「古典」のようになってしまった。ただ、変化の激しさに目を奪われるのではなく、インターネットとはそもそもどういうものかを理解しようとするためには、やはりまっさきにあげてしかるべき本であろう。
題名が示すように、インターネットの出現によって何がどう変わったか、あるいは変わってゆくはずかを解説した本。村井純『インターネット』とあわせて読むと、インターネットのことがさらによく理解できる。
フランス語学習者に限らず、スペイン語、ドイツ語など、英語以外の西欧言語を学んでいる人に利用してもらいたいと思って出版しました。MacintoshはOS 7.5 から8.1まで、Windows は 95/98 までをカバーしています。
日進月歩ならぬ分進秒歩のこの時代、だいぶ古めかしくなってきましたが、考え方の基本は変わりません。たとえばWindows Me は、画面のデザインが少し変わりましたが、フランス語など欧文入力のための設定の仕方はWindows 98 と基本的には同じです。(ただしMacについては、その後のOSで検証していませんので、なんともいえません。)
残念ながらInternetやE-mailについての解説や情報が不足しています。新版を出すか、あるいはホームページで補足するか、いまだに思案中です。
研究・教育にコンピュータをどう使ったらよいかと考えているひとには、この本が参考になるでしょう。
コンピュータを使いこなすようになると、実際に使用できる文字にいろいろと制限があることがわかってくる。
これらの問題には、すべて文字コードが絡んでいる。ところがこれまで、文字コードについて初心者にもわかるように解説した本がまったくといってよいほどなかった。
本書は、初心者にも理解できるように図表や画像を多数用いながら、文字コードのことをわかりやすく解説している。それだけでなく、上にあげたような問題で悩んでいる人に、現時点で可能な解決手段を提示してくれてもいる。
その他にも、次のような人たちに本書を推薦したい。
長崎外国語大学の学生は、全員「英語以外の外国語を(も)学んでいる/使っている人」に該当するから、迷わずこの本を読むように!
[無駄話]
コンピュータの世界もずいぶんと国際化してきた。当初は英語しか使えなかったコンピュータ(アメリカで開発されたコンピュータは、長い間、英語以外の外国語がまったくダメだったのだ!)も、PC(パーソナル・コンピュータ)の普及とともに各国語OSが開発され、それぞれの言語に対応できるようになってきた。
そしてWindows95の発売を契機に、コンピュータが素人にも使いやすくなっただけでなく、英語以外の外国語にも対応できるようになった。(Macintoshはいち早くその環境をよりスマートに実現していたが、ユーザーは非常に限られていた。) さらにはインターネットの急速な普及により、文字コードが追いつく前に、事実上の多言語時代がネット上に実現してしまったのである。
ただし、問題は、自分が使用しているコンピュータがそれにどこまで対応しているか、である。世界中のコンピュータで、英語は標準で使えるようになっている。 しかし、英語以外の言語は、その国/地域で用いられている言語以外は、使えない(使えはしても使いにくい)可能性が高い、と考えていたほうがよい。 たとえば、アメリカやヨーロッパで普通に使われているコンピュータでは、日本語は使えない。中国や韓国のコンピュータでも、日本語はだめである。
だからと言って、解決手段がないわけではない。しかし、そのためには文字コードの基礎知識が必要である。
多言語処理(英語以外の外国語と日本語の併用)を必要としている人には、本書を手に入れて読むこと、そしてOSにはWindows 2000を使うことを、さしあたって提案したい。(MacユーザーにはMacOS 9以降をすすめるが、Mac 独自の文字コードにはくれぐれも注意されたい。)
UNIXやLINUXは素人が手を出せる代物ではないので、難しいからやめたほうが良いというのが私のアドバイスである。これに手を出したら、ほとんど間違いなく、自分の本業がおろそかになるだろう。理系とくに工学部系統の高度な電算処理を必要とする分野はいざ知らず、文系人間つまりコンピュータは電話・FAX・文房具の延長=仕事の道具として使う人には、WindowsかMacで十分だと私は考えている。(それでさえ、うっかり深入りすると大変な目に会う。いくら時間があっても足りないのだ!)
「文字コード」についてもう少し詳しく知りたいと思う人は、この本をすすめる。「文字コード」とは何か-その基本的な考え方-から、国際文字コードとしての漢字、文字コードにおけるグローバル・スタンダードの問題などが取り上げられている。文字の処理は文科系のコンピュータ技術の基本であり、コンピュータを使って仕事をしている我々すべてに関わる問題といえるだろう。とくに漢字処理や多言語処理で頭を痛めている人には必読書。
加藤氏のWebサイト「ほら貝」のなかの
文字コード問題を考えるにもどうぞ。
コンピュータを使って仕事をするようになると、「文字コード」についての知識が必要になる。日本語・漢字処理の問題だけでなく、コンピュータと言語の関係を考えさせる好著である。
フランス人の視点からだが、さまざまな分野の代表的な本を紹介している。どんな本があるか、ざっと見てみるとよい。
本を注文するとき知っておくべきことは、1書名、2著者名、3出版社名、それに4値段(間違って高い本を注文したりしないように)である。書名か著者名がわかれば『日本書籍総目録』(ライブラリーにある)で他のことはすべて調べられる。いや、それよりもインターネットで調べたらもっと早い。まずは「戸口おすすめサイト」の
に行ってみたまえ。フランスに直接注文することだってできるのだ。ともかく、毎日メディアセンターに通い、何か調べたいことがあったらライブラリーの係りの人にどんどん遠慮せずに聞くか、インターネットで探してみることだ。