学校や学童保育、プレーパーク、保育園、保健所、障害のある若者が働く共同作業所など、広いフィールドを背景に、理論面および実践面から研究を行ってきました。専攻は教育心理学・発達心理学で、子どもの心理・身体の発達過程と教育・保育内容に関して研究を続けてきました。これまで、子どもの認知発達と教育内容との関連、障害のある子どもの心理と保育内容との関連、思春期の心理と教育のあり方などについて、研究を重ねてきました。一連の研究において、弱者の立場に立つということを心がけてきましたが、それは、ジェンダーを一つの縦軸とした研究の継続と言い換えることもできます。いかなる学問も、人間としていかに生きるのかということを究極の問いかけとしていますが、ジェンダーを一つの縦軸としたとき、研究や教育、ひいては人々の生活に新たな視点をもたらしてくれるということを、研究の過程で実感しています。
1981年3月 東京学芸大学教育学部学校教育学科卒業
1984年3月 お茶の水女子大学大学大学院修士課程人文科学研究科教育学専攻修了
文学修士(お茶の水女子大学)1984年
[担当科目]
教育心理学、心理学、児童心理学、学校カウンセリング論、生徒・進路指導論、特別活動論
[教育方法・内容の工夫]
教育というものは知識の伝授・習得にとどまらない、いわば生きたプロセスですから、受講者のこころを揺り動かすような教授内容になるよう工夫しています。主たる担当である教職課程では、将来教員をめざす学生に対し、理論の教授にとどまらず、昨今の教育事情に関連する問いを発し、考えさせ、理路整然と答えさせるようなとりくみを実践しています。また、即戦力が重視される時代をにらみ、学校カウンセリング論や特別活動では、模擬実習をとりいれ、近い将来の教育実習・新人教師への備えを行っています。受講者が多い心理学の授業では、難しい専門用語や理論を紹介しつつ、パワーポイントによる視覚情報・プリント教材などにより、受講者の理解や満足度を高める工夫をしています。2010年度秋学期には英語による心理学の授業も試してみましたが、専門用語のみならず、一般の英語の習得という側面からも評判はまずまずでした。
[作成した教科書・教材・参考書]
1987 新幼児教育心理学(共著) 学芸図書
1993 中学・高校教師になるための教育心理学(共著) 有斐閣
1996 メンタルヘルスの実践(共著) 朱鷺書房
1997 生涯学習の扉(共著) ぎょうせい
1999 保育のための発達と教育の心理学(共著) 三学出版
2002 中学・高校教師になるための教育心理学改訂版(共著) 有斐閣
2006 こころとからだの処方箋7 思春期の自己形成ー将来への不安のなかでー(共著) ゆまに書房
2007 現代日本の教育を考えるー理念と現実(共著) 北樹出版
2009 小学生のこころと発達ー(共著) 福村出版
2010 現代日本の教育を考えるー理念と現実改訂版 北樹出版
[最近5年間の研究]
最近の研究は、(1)思春期の発達(自己形成)、(2)障害のある子どもの心理と教育・保育、(3)学力と評価、(4)ジェンダーと教育・心理学 の4つにまとめることができる。
(1)思春期の認識の発達(自己形成)について、思春期ゆえの特徴である人格発達の危機という側面に留意しながら研究を進めている(2006)。また、身体上の非連続的な変化を迎える思春期女子での、身長・体重という連続的な変化について、歴史的な観点から検討をおこなった(2010a)。今後は思春期男子にも対象を広げ、思春期の子どもの身体の発達について、広範にかつ歴史的に深めていきたいと考えている。
(2)障害のある子どもの時間の認識などの心理的側面と教育・保育のあり方について検討を行い(2009a)、とりわけ広汎性発達障害の子どもの非言語的なエピソードから、子どもの認識の有りようと教育・保育のあり方についての考察を行った(2009b)。今後は対象を青年期に広げたり、より広い生活空間(たとえばプレーパーク)を対象に広げるなどにより、広範にわたる子どもたちを対象とする研究に高めたい。
(3)学力は人格発達における重要な側面と捉え、学力の定義、評価のあり方などについて歴史的にレビューを行い、現代の教育事情に照らして、評価のあり方について提言をおこなった(2007,2010b)。また日本の学力問題の状況をレビューし、学力問題に対し、心理学的な立場からの提言をおこなった(2008a)。今後は思春期の学力形成に光を当てて教育内容や人格発達の研究を進めていきたいと考える。
(4)心理学研究をジェンダーの視点から検討し、心理学研究にむけての提言をおこない(2008b)、高校での女性管理職の現状についてジェンダーの視点から検討を行った(2010c)。今後も教育・研究における人権・平等の理念を進めていくために、広範囲にわたり、ジェンダーを取り入れた研究をおこないたいと考える。
2006 こころとからだの処方箋 思春期の自己形成(共著) ゆまに書房 pp.107-135
2007 現代日本の教育を考える-理念と現実(共著) 北樹出版 PP.40-49
2008a 学力問題を考える~心理学的見地より 長崎外国語大学論叢 第12号pp.197-206
2008b ジェンダー研究から心理学研究を考える 心理科学 第29巻第1号pp.45-52
2009a 小学生のこころと発達(共著) 福村出版 pp.20-30
2009b 広汎性発達障害の子どもに対する理解と教育についてー子どもの”自発語”をとおして 長崎外国語大学論叢第13号pp.79-87
2010a 思春期女子の発達加速ー初潮・身長・体重ー 長崎外国語大学論叢第14号pp.97-112
2010b 現代日本の教育を考える-理念と現実(共著)改訂版 北樹出版 PP.40-49
2010c 公立高校の女性管理職に関する研究ー管理職の現状分析-(共著) 国際ジェンダー学会誌第8号 pp.81-98
日本教育心理学会
日本発達心理学会
心理科学研究会
国際ジェンダー学会
平成22-23年度 カシオ科学振興財団人文化学部門 「教育分野における管理職登用のメカニズムに関する研究」(研究代表者:関西福祉科学大学健康福祉学部准教授池上徹) 共同研究者