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2012年度春季 長崎外国語大学入学式 式辞

2012年度春季 長崎外国語大学入学式 式辞

2012年4月3日
長崎外国語大学 学長 石川昭仁

  長崎外国語大学に入学された皆さん、おめでとうございます。長崎外国語大学の全教職員を代表して心から歓迎の意を表します。また、ご家族をはじめ関係の方々にも、合わせて心よりお祝いとお慶びを申し上げます。

  2012年春の1年次入学者は、143名です。そのうち、12名が留学生です。社会人入試で入学された8名の方もいらっしゃいます。これとは別に、2年次・3年次の編入学・転入学が13名です。また本学にはJASINプログラム、NICSプログラムと呼ばれる外国人留学生のための短期留学プログラムがあり、このプログラムの留学生44名も本日の入学式に臨んでいます。昨年秋から継続して学んでいる学生もいますので、アメリカ、フランス、カナダ、中国、台湾、韓国からの短期留学生の数は90名となります。今日は、その中で春学期入学の200名の新入生がここに集っています。

  皆さんは、この入学式がキリスト教の礼拝のスタイルで行われていることに、すでにお気づきのことと思います。皆さんが手にしている入学式のプログラムの表紙をご覧ください。そこにはラテン語でvia veritas vita(わたしは道であり、真理であり、命である)と記されています。この「道」、「真理」、「命」は、先ほどの宗教主任による聖書の朗読にありましたように、「ヨハネによる福音書」に書かれているもので、イエス・キリストが自らを明かして述べた言葉です。表紙の一番上に記されている校章は、この言葉の三つの頭文字、すなわちv を三つ組み合わせたもので、キリスト教精神に基づく長崎学院・長崎外国語大学の建学の精神を象徴しています。長崎学院・長崎外国語大学は、キリスト教精神、つまり「真理と自由の探求」、「隣人愛」、「献身と奉仕の精神」を教育の根本理念としているのです。

  先ほど、新入生の皆さんに壇上に上がっていただき、学長が一人ひとりと歓迎の握手を致しました。我が大学は、大学の主役である皆さん一人ひとりを大切にし、それぞれのニーズに応じた学習支援を行うとともに、満足度の高い教育を行うという決意の表明でもあります。今年は、特に目の不自由な中尾清隆君を新入生として本学に迎えることが出来ましたことは、大いなる喜びでありす。中尾君は本学で英語を学び、将来は教師の職につきたいという大きな夢をもって入学されたと伺っております。中尾君の夢を実現させるべく、皆さんと共々に私たちはできる限りの支援をしたいと考えております。

  さて本日は、長崎外大で「何を、どのように、何のために」学ぶのかということについてお話しいたします。

  まず、長崎外国語大学で「何を学ぶか」ということです。長崎外大は、幅広い国際的な職業人、グローバル人材の育成を目指して、「語学力」、「コミュニケーション力」、「人間力」の養成に力を入れています。「語学力」をしっかり身につける、外国語大学で学ぶ皆さんにとっては当然のことです。将来皆さんがグローバルに活躍する人材となったとき、一つの外国語では、不十分であり、少なくとも二つの外国語に習熟するということが大切です。今日、英語は、世界のあらゆる場面で使われています。ビジネスの場面では英語で十分仕事がこなせるようになってきています。しかし、英語でビジネスを処理できたとしても、実りあるビジネス活動を行っていくためには、その土地の人の心のひだに触れる真のコミュニケーション力が必要です。そのためには、その文化を深く理解するとともに、その人々の言語でコミュニケーションを図ることが一番です。長崎外国語大学のキャンパスでいろいろの国から来た留学生と出会い、少なくとも2つの外国語が必要だという「感覚」をなるべく早く、つかんでください。

  語学力以上に重要な力は「コミュニケーション力」と「人間力」です。語学力は、人と人との「コミュニケーション」に効果的に生かされるのでなければ、何の意味もありません。相手の言葉によく耳を傾け、正しく理解したうえで、それに対する自分の意見を明確に相手に表現し、伝える。場合によっては、様々な説明の方法や手段を駆使して、意見の異なる相手との相互理解を得る、これこそ重要なのです。「効果的なコミュニケーション力」とは、単に「外国語をペラペラしゃべる」のではなく、言語の背景にある歴史や文化、ものの考え方や感じ方を身につけ日本語または外国語の力を駆使して、様々な人々と一致協力しながら共通の目標を達成する力と言うことができます。
しかし、何よりも重要なのは「人間力」です。自らの頭で考え、自ら問題を発見し、自らそれを解決する力、自ら計画し、行動し、実践する力です。同時に他の人間の立場を思いやり、他の人間と協調し、協力して、何事かを実現する力、これをコラボレーションとかチームワークといいますが、このコラボできる力によって、人間力はまさに人間力として力を発揮するのです。

  では、長崎外大で「どのように学ぶ」のでしょうか。
  長崎外国語大学の学生の中には伝統的な若い日本人学生以外に社会人や世界各国からの留学生も多数います。教員から学ぶことはもちろんですが、留学生から外国語や異文化を学び、豊かな社会的経験をお持ちの社会人学生の方から多くの知恵を学ぶことも大切です。留学生とともに学ぶ、社会人と共に学ぶ。長崎外国語大学は、それぞれの立場を尊重しながら、相互に教え合い、相互に学び合う「共同体」なのです。

  「学びあう共同体」の主役は、皆さん学生であることは言うまでもありません。今、大学が努力して取り組んでいることは、教員が一方的に知識を教え込む教員中心の教育から、学生の皆さんが主体的自立的に学んでいく教育への転換です。その一つの方法として、コンピュータを活用した「学修ポートフォリオ」という仕組みを作っています。このポートフォリオに皆さんが日々の学びを記録し、自ら学習成果を振り返るとともに、目で見える形でその情報を教員や友人と共有しあい、学習成果を相互に評価してもらうことによって、学びの質をステップ・バイ・ステップで高めていくというものです。

  もちろん、学生の皆さんが主体的自立的に学ぶといっても、そこには一定の方向性と目標が必要です。卒業時に、どのような授業や学習プログラムを選択すれば、どのような能力が身に付つくのか、なにができるようになるのか、という学習到達目標が、あらかじめ教員にも学生の皆さんに示されています。このガイドラインに従って、将来の目標を見据えながらしっかりと学んでいただきたいと思います。

  最後に「何のために」学ぶのかということです。
  最近、若い世代で海外に対する関心が低下していることから、若者の「内向き志向」がしばしば話題になります。私たちは、個人主義ということで、ともすれば自分の世界に引きこもりがちになります。しかし、大学であれ、社会であれ、世界であれ、どれも個人を超えて私たち自身が手を結びあって造りあげているものです。 自分が生きているということ、自分が学んでいるということが、教師と学生との相互関係がそうであるように、様々な人々との繋がりのなかではじめて可能になっているのです。このことに気づけば、自分もまた、積極的に、そうした世界、「共に学び合う共同体」へ関わろうとする努力を重ねなければならないことも理解できます。

  その努力とはなんでしょうか。アメリカの元大統領John F. Kennedyは、“Ask not what your country can do for you - ask what you can do for your country.”という有名な言葉を残しました。この言葉にならっていえば、“Ask not what others can do for you - ask what you can do for others.”「人が何をしてくれるのかを問うのではなく、人のために自分がなにができるのか問いなさい。」自分の世界から飛び出して多くの人と出会い、その出会いを通して自分自身を知り、どうか、人のために何ができるかを考えることのできる人になってください。

  大学という学びの共同体のなかで、学生も教員も職員もお互い足らざるものとして、謙虚な姿勢で、深くかかわり合い、それぞれの役割や強みを活かし、手を携えてお互い助け合いながら、一歩ずつ前進して行きましょう。
新入生の皆さん、ようこそ、長崎外大へ。