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長崎学院65周年、長崎外国語大学10周年記念式典 式辞 2011年12月3日 |
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本日ここに、わが長崎学院創立65周年、長崎外国語大学開学10周年記念典を挙行するにあたり、ご来賓としてご多忙の折にもかかわらずご出席を賜りました皆様方に対し、まずもって心より感謝と御礼を申し上げます。また、本学学生諸君をはじめ数多くの長崎学院、長崎外国語大学関係者の皆様とともに、この栄えある式典を催すことができましたことは、この上ない喜びであるとともに、光栄の極みでございます。 長崎学院は、長崎外国語学校を起源として、1945年、第二次世界大戦が終わった年に発足しました。長崎は、広島とともに原子爆弾の悲惨を経験した町です。長崎学院は、原子爆弾の惨禍の中で、戦争に対する深い反省とキリスト教的人間愛の精神に基づいて創設されたのです。その根本にあったのは、世界の平和と人類の共存共栄のためには、若者たちが外国の言葉を学び、その背景にある各民族の豊かな歴史や文化、ものの考え方やものの感じ方を学び、国や民族を超えて相互に深く理解し合うことが何よりも大切であるという理念です。 この理念を実現するために、1950年に長崎外国語短期大学が開学いたしました。その学則には「キリスト教精神に基づき、外国語と国際文化に関する知識を教授研究し、国際的な視野と円満な人格の涵養を図り、もって地域並びに人類社会の福祉と発展に寄与しうる人材を育成する」ことを目的とする、と謳われております。この長崎外国語短期大学も、ちょうど60年にわたるミッションを終えて今年3月をもって閉学いたしました。60歳の還暦を迎えた我々が「赤い頭巾とちゃんちゃんこ」を身に着け、生まれたときに帰るように、長崎外国語短期大学は、長崎外国語大学として生まれ変わり、長崎外国語大学にその使命を託したといえます。長崎外国語短期大学の60年の発展の歴史は、幾多の先達の高い志と情熱、そして苦難と努力によるものであり、この記念式典のときに改めて深甚なる敬意を表したいと存じます。 長崎学院60周年記念誌には、短期大学の校旗がつくられた経緯を語った卒業生の思い出が記録されております。当時の短大は、経済的に相当困っていたのでしょう。学生の一人が校旗の製作を大学に要望し、それが難しいと知ると、全学生から寄付を募って集まった相当の金額を大学に提供し、そのことが大学を動かして校旗ができたようです。この校旗に象徴される幾多の卒業生の母校愛を覚え、敬意を表したいと思います。 2001年に開学した長崎外国語大学は、初代学長光田明正先生のリーダーシップによって、建学の理念を継承して、特に国際交流に力を入れ、日本人学生と留学生とが共に学び、交流を深め、知識と経験を分かち合い、学生たちが真に国際的な視野を備えた人間に成長することを教育の目標にしてきました。第二代学長池田紘一先生は、困難に直面した長崎学院のために大胆な改革を勇気をもって実行され、新生長崎外国語大学の産婆役として、多大な貢献をなされました。我が大学関係者を代表して心より感謝の意を表します。 さて、今、日本は、人口の減少に加えて、経済の停滞、東日本大震災、福島原発事故、急激な円高による生産拠点の海外移転、産業の空洞化など、行き先不透明な状況に置かれております。世界に目を向ければ、1991年のソ連崩壊の後、グローバリゼーションと称されるアメリカの一極体制が続きました。しかし、2001年のアメリカの同時多発テロ以降は、2008年以後の世界同時不況もあいまってアメリカ一極体制が年を追うごとに弱まり、世界秩序のフラット化・多様化が進行し、文化の衝突、国家間の利害の対立が環境問題や労働問題など様々な局面で顕在化しています。このような21世紀社会において、大学は、これまで人類が歩んできた「歴史や文化」を学ぶとともに、グローバルな視野を持って今日の「世界の諸課題」を理解し、困難にチャレンジしうる、いわゆる「グローバル人材」の育成が強く求められています。 伝統は、「堅牢な守りではなく、その内部で常にイノベーション(革新)を生み出すこと」で、持続可能なものになります。昨年、我が大学は、文部科学省の就業力育成事業の指定を受け、「グローバル人材」の育成を目指して、教育の質の向上を図る様々な取り組みにまい進しております。 本年は国際交流協定大学の協力を得て、中国のアモイと台湾の高雄でインターンシップを実施しました。これには中国語専修の学生に加えて、英語やフランス語の学生も参加し、多言語・多文化を学ぶという本学の教育方針が着実に浸透していることを示しています。また、教育課程の構造化、システム化を図るとともに、学生が日々の学びを記録し、指導を受けながら学習の質の向上させる「学修ポートフォリオ」を構築しているところです。これは、教員中心の教育から、学生たちが主体的自立的に学んでいく教育への転換であり、そのシステムづくりです。卒業時に、具体的にどのような能力が身に付つくのか、なにができるようになるのか、というアウトカムとしての学習到達目標を、あらかじめ学生、教員、保護者、社会に宣言し、学習の進み具合を学生自身の手で記録し続け、自らより高度な学びへと進んでいくことを目指すものです。これを定着させていくことは、我が大学にとって、極めて重要な課題だと考えております。 今ほど「国際交流大学」としての我が大学の真価が問われている時はありません。現在の学生が将来国際社会で活躍しているであろうことを想定し、それに向け、いかなる困難をも乗り越え人材育成に取り組んでまいりたいと存じます。 この誓いを表明して、私の式辞といたします。 |