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学長スピーチ 2009年度秋学期 長崎外国語大学・長崎外国語短期大学卒業式 式辞(2009年9月30日)

2009年度秋学期 長崎外国語大学・長崎外国語短期大学卒業式 式辞

2009年9月30日
長崎外国語大学 学長 池田紘一

卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。今期卒業生は、長崎外国語大学日本人学生3名、中国からの留学生24名、長崎外国語大学短期大学日本人学生2名、計29名です。

私はまず、中国からの留学生諸君に申し上げます。長崎外国語大学の学生として数年を過ごし、いま卒業証書を手にした心境はいかがですか。諸君の大多数は留学する前にすでに中国で日本語と日本文化について学んできたと思いますが、その留学前といま現在とでは、日本語や日本文化に対する意識に何か大きな変化はありましたか。

私はつねづね学生諸君にこう申してきました。留学において最も大切なことは、まず第一に異なる文化を自分の心とからだで直に体験し、異なる生活習慣、異なる考え方、異なる感じ方と対決し、これを理解すべく努めることである。そして第二に、そのプロセスを通じて、自分の文化、自分自身と改めて向き合い、自分自身を再発見することだ。そして第三に、これが最も重要なことですが、言葉や人種や宗教や国の違いを越えて、対話し、理解する力を獲得することである。

皆さんが本学で勉強したことは、人それぞれで異なるでしょう。また卒業後の活躍の場も、仕事の内容も人それぞれで異なるでしょう。しかし、いま申し上げた三つのこと、異文化との対決、自己の再発見、そしてそれを通じて獲得した対話と相互理解の可能性、留学体験によって得たこの貴重な財産をこれからの活動の中で是非とも生かしていただきたいと願っています。

ご承知のように世界はいま大きな経済的な危機に見舞われています。貧富の差の拡大をどう是正するか、地球環境をどう守るかという大きな課題にも直面しています。同時に政治的・宗教的・人種的な争いも後を絶ちません。しかし先の国際連合の会議の際に話題になった東アジア共同体構想にも見られるように、中国、韓国、日本を中心とする東アジアの連帯は、さまざまな世界的危機を克服するための一つの大きな鍵であり、未来に向けての大きな希望であります。皆さんもまた、今後いかなる道を歩まれるにせよ中国と日本との、中国と世界との架け橋となり、この希望を実現する担い手となられますよう祈願します。

以上、留学生の皆さんに申し上げたことを、ほとんどそのまま本日卒業する日本人学生の諸君に対しての餞の言葉としたいと思います。諸君はこの2年間、あるいは4年間外国語と格闘し、外国の文化について学んできました。その目的はそれぞれに異なるでしょう。しかし他者の発見、自己の再発見、対話と相互理解と相互協力の重要性の認識、つまり外国語力とコミュニケーション力と人間力の獲得の努力――、これから先どんな道を進もうとも、またどんな困難にぶつかろうとも、この経験を忘れないでください。この経験を生かしてください。そして、ただ単に個人の幸福を追い求めるだけでなく、つねに日本が抱える、東アジアが抱える、いや世界が抱えるさまざまな難題を自らの問題と捉え、その解決の一翼を担うという責任と自負を持ち続けてください。これはあるいは過大な要求、過大な期待かもしれません。しかし、いま卒業生諸君を前にした私のうそ偽りのない願いです。
卒業生諸君の今後の活躍を心から祈っています。