The Mikado's Empire, 1876

 グリフィスは明治4年(1871年)に来日し、明治8年(1875年)に帰国する。帰国後は牧師となるが、執筆活動も活発に行った。ここに紹介する『皇国』は1876年に出版された。1913年までに12版が出ている。この本は二部に分かれており、一部は「日本の通史」、第二部が「日本滞在記」である。日本語訳は第一部が亀井俊介訳(『ミカド』)で研究社と岩波文庫から、第二部が山下英一の訳で(『明治日本体験記』)平凡社東洋文庫から出ている。
 グリフィスは最初福井に滞在した。福井の家には「おぶん」という名の11歳の女中がいた。彼女との言葉のやり取りの場面を紹介しておく。
 「古い屋敷の生活は毎日珍しいことばかりであった。どんな些細な出来事も日本人の生活、性格、考え方に新しい光線をさす隙間になった。ある日おぶんが夕食後、食堂に入ってきて、「オ、ママ」と答えた。「どういうことですか、娘さん。お母さんが生きていると思うのですか。どこでその英語をおぼえたのですか」。私がそこで日本語とアーリア系言語に類似点があるかの問題を考えていると、その娘はからの皿をつかみ、からなのに驚いた様子をして出て行った。後で、「オ、ママ」とはご飯のことだとわかったが、そのご飯は近くの大きな寺に住みついていて、よくこちらの庭に飛んでくる神聖な鳩の群にやる餌に使ってしまっていた。」

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