アメリカでの資料収集(1)

  8月15日から40日間アメリカのメリーランド州とワシントンDCにある米国立公文書館で在外研究をすることとなった。

  作家松本清張の「黒地の絵」(1958年(昭和33年))は1950年(昭和25年)7月11日に北九州市小倉で実際に起こった米黒人兵の集団脱走事件を扱った小説である。当時日本は連合国軍の占領下に置かれており、昭和25年7月18日の新聞に「米軍が遺憾の意を表明」という記事が地方版に載っただけで、この事件の真相は未だ闇につつまれたままとなっている。事件の内容は占領軍の徹底した報道管制により規制された。その当時、事件現場近くに住んでいた松本清張は、昭和33年にこの小説を発表することで、事件の一面を明らかにしようとした。朝日新聞が4回にわたり体験談を中心に特集記事を組んだのは、事件から25年後の昭和50年7月のことであった。

  KBC九州朝日放送は創立40周年にあたる1993年(平成5年)に『松本清張の挑戦 小説「黒地の絵」四十三年目の検証』という特別番組を放映した。その中で、脱走を図ったと言われているアメリカ第24連隊に所属した元兵士達のインタビューもあったが、彼らは集団脱走事件を一様に否定している。  

  1950年7月に集団脱走した黒人兵の数は250名に上ると言われている。被害届も日本の警察には残っていない。ところが、英文による被害届が米国立公文書館に存在することが分かった。今回、その資料収集を行うことで、事件の実態を明らかにしたい。

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