現在、就職活動がうまく進んでいない学生に限って自ら就職を「狭き門」として位置づけ、まったく動くことができずに硬直化しているケースが多い。極端な例では、何の努力もしない学生が、この世の中には自分の理想に何から何まで合致する楽しい仕事があり、いつか自分だけはその仕事と巡り合う運命にあると夢見るように妄信している場合もある。いかなる仕事も自らの努力と工夫と前向きな姿勢をもって「面白く」していくことが必要であるのに、そこに目を向けようとしないのである。
仕事に対し最初から「楽しいこと」「楽であること」を求める傾向が強いか、または最初から仕事そのものではなく、給料や休みや就労時間等の条件面ばかりを気にする現代の学生の安直な傾向が非常に目立つようになってきている。本来は小学校、中学校、高等学校の教育を通じて、働くことの意味を学んでいるはずの大学生だが、最高学府の上級生(3、4年生)になっても、大学の1年次からスタートするキャリアプランニング等の講義を履修した学生でさえも、仕事への認識は驚くほどに薄いのが現実のようだ。さて、これらの憂うべき状況への対処法の一つとして、就職活動をすることへの姿勢が整わないために消極的になっている(どうすればいいのか分からなくて考えることも億劫なので後回しにする)学生や自己と他者への理解力と表現力が不足しているために対話の相手に思いを伝えることができない学生には、進路相談を専門職とする経験豊かなキャリアカウンセラーからのアドバイスが非常に有効であると考えられる。有能なキャリアカウンセラーの知識と経験が、頑なに閉ざした就職活動への学生の心を少しずつ氷解させ、彼らの意識を変えることはもちろん、実際に動いてどんどん企業に働きかけるなど、自ら考え行動に移すことができるようになった学生の例が多く存在する。このように、キャリアカウンセラーの大学への配置は就業力向上へむけての極めて有効な対策の一つであると考えることができよう。
本学では、多くの学生にキャリアカウンセラーと相談することで学生自らが本人に内在する問題点と向き合い、それを解決し、就職活動への力強い取り組みへ向けて高い意識を持つことができるよう支援すると同時に、企業・団体の研究と自己分析の適正な理解を通して就職率を向上させることを目的としている。
キャリアカウンセリングの役割としては、中心的な活動として、学生の個別相談がある。初年度の2010年度には、9月末よりバランスのとれた知識と経験を持ち、自ら学生に積極的なアプローチをするタイプの女性を3名、地元企業で管理職や人事の経験を持つ年配の男性を1名の計4名のキャリアカウンセラーを雇用した。
雇用の当初は、直接企業の生の声を聴き学生指導に役立てようと考え、実際に県内の企業訪問に同行させていた。しかし、やはり学内で学生に対してのカウンセリングに時間を割くほうが効果的であると考え、その後は、専ら来室する学生に対しての対面相談に集中することとし、3月末日までの6か月間のシフト管理により、101日間のべ400名の学生対応が実現できた。これは1日当たり4名の個別相談を実施した計算となるが、それ以外にも、各キャリアカウンセラーの業務内容として、模擬面接の面接官、企業研究方法のコーチング、ビジネスマナーの指導も併せて対応することとした。
翌2011年度には初年度の反省も踏まえ、また費用対効果の観点も容れて、年間を通し男女各1名(計2名)のカウンセラーを雇用し、学生の相談に応じる体制を整えた。その上で学内外の催しや学生の時間割も十分考慮にいれた計画を実行し、さらにキャリアカウンセラーのシフト作成(各日1名のカンセラーが常駐)においては、学生が参加しやすい日程を指定する形とした。2名のカウンセラーによる週2回程度の実働であったが、告知の掲示物、案内も強化したため、年間ではのべ701名の学生の相談対応件数となった。これは、2年目である2011年度では、1日当たり5.4名のカウンセリングを行った計算であり、初年度に比べて1人当たりの相談学生数前年比135%(前年差1.4名増)という結果となり、就職内定率の数値にも改善が見られた。 今後については、 ・キャリアカウンセラー相談の予約制シフト化 ・初年次教育及び基礎演習、キャリアプランニング等の講義を通した学生への周知徹底 ・キャリアカウンセラーの継続的対応 以上により今後の就業力強化を行いたい。
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