外大ビジョン21

はじめに

1945年に長崎外国語大学を擁する学校法人長崎学院の創立者たちが教育の基本に据えた理念は、プロテスタント・キリスト教主義でした。戦後日本の将来を担う人物は、世界的な視野と教養を身につけた人格者であらねばならない。また、第二次世界大戦の反省から、世界平和と人類の共存共栄の理想を実現するためには、外国語を用いて異なる国々の人々と対話し、異文化を理解し尊重する若者を養成しなければならない。そして日本の良心たるそのような自立した人間の教育の基盤は、キリスト教の「隣人愛」「献身と奉仕の精神」「真理と自由の探求」という普遍的な価値観にこそ置かれるべきだ、と創立者たちは考えたのです。

この建学の精神は、21世紀の最初の年に設立された長崎外国語大学にも受け継がれています。その学則第1条は、「キリスト教精神に基づき、外国語と国際文化に関する知識を教授研究し、国際的な視野と円満な人格の涵養を図り、もって地域並びに人類社会の福祉と発展に寄与しうる人材を育成する」とあります。この理念に基づき、長崎外国語大学は「<語学力>を磨き、<国際的コミュニケーション能力>を身につけ、<人間力>を鍛えることによって、真の対話と相互理解によって共通の目標を一致協力して実現する力を備えた人材を養成する」ことを目指してきました。

今日、グローバル化が急速に進展し、絶え間ない国際間の競争の中で、自らの自国民としてのアイデンティの確立と多様な文化の理解が求められ、豊かな教養、高度の外国語運用能力と地球的視野を身につけた、実践力ある「グローバル人材」が必要とされています。 その一方で、急激な18歳人口の減少や経済の停滞など、大学を取り巻く状況はますます厳しくなっています。そこで、私たちは、こうした状況を踏まえつつ、本学が、今日の大学に課せられた使命を果たすべく、これまでの歩みをさらに発展させ、地域社会はもとより、広くアジアで欠くことのできない大学として確固たる地位を築くための中長期計画“Gaidai Vision 21”を策定しました。

“Gaidai Vision 21”では、東京でオリンピックが開催され、また18歳人口が再び急激な減少に転じる中で長崎外国語大学創立75周年を迎える2020年に、①日本および諸外国から集まった長崎外大の学生は、地域社会及びグローバル社会の発展に寄与する高い志を持ち、社会に踏み出す準備ができており、②教員は研究の成果をグローバル人材育成を目指した教育や地域課題の解決に活かすことができ、③意欲あふれる教職員によって、優れたグローバル教育や学生指導、キャンパスのグローバル化への取組みや国際戦略の展開が行われ、④卒業生は世界各国で、また日本やそれぞれの地域でグローバルな視野をもった人材として社会や地域の発展に貢献している、そして⑤確固たる運営体制と財政基盤が確立しているというビジョンを思い描き、そのビジョンの実現のためには何をしなければならないかを考え、21の戦略とそれを実現するためのプロジェクト(行動計画)を提示しています。

“Gaidai Vision 21”は、絵に描いた餅に終わらせてはならず、毎年の事業計画に反映させ、その成果について不断に検証・評価し、さらなる改善につなげていかなければなりません。理事会と大学の各部署や教職員がビジョンと目標を共有し、一丸となって改革に取り組む必要があります。教職員はもとより、長崎学院、長崎外国語大学に連なるすべての方々の改革に向けたご協力を期待いたします。

長崎外国語大学
学長   石 川  昭 仁

改革の姿勢

  1. 個性や多様性を尊重し、長崎外大の特色を活かしながら、教職員・学生・卒業生等、長崎外大 に連なるすべての人たちが目標を共有して能動的・主体的に一致協力して改革を推進する。
  2. 従前の慣習や形式的な平等主義を排し、大学改革への貢献と成果に基づき教職員とその取組を 適切に評価する。
  3. 全学的な視野に立ち、人材、資金の有効な活用を図る中で新規事業を実施し、財政を圧迫しな い改革とする。

I. 長崎外大のビジョン

<教育・研究ビジョン>

1. グローバルな視野と教養、卓越した語学力を身につけ、世界に貢献する志をもった学生

日本および諸外国から集まった長崎外大の学生は、教室内外での学生間および教職員との知的文化 的交流の中で、卓越した語学力、幅広い教養、深い専門性、並びに人間力を身につけ、地域社会並び にグローバル社会の発展に寄与する高い志を持ち、社会に踏み出す準備ができている。

2. グローバル人材育成の基板となる研究の推進

長崎外大の研究は、まず「世界平和と人類の共存共栄の理想を実現する」ために、グローバル化の進展と多文化共生における諸課題や地域社会の課題を指し示し、その解決に寄与する。また、教員と して研究や取組の成果をグローバル人材育成を目指した教育活動や地域課題の解決に活かすことがで きる。

3. グローバル人材育成の基盤となる国際戦略の展開

長崎外大では、教職員自ら優れたグローバル人材としての能力を持ち、また意欲あふれる教職員によって、優れたグローバル教育や学生指導、キャンパスのグローバル化への取組みや国際戦略の展開が行われている。

4. 社会を支える卒業生

長崎外大の卒業生は、どのような職業についているにせよ、世界各国で、また日本やそれぞれの地域でグローバルな視野をもった人材として社会や地域の発展に貢献している。卒業生が母校で再び学び、また他の同窓生や地域社会と深くつながり、社会の持続的な発展に寄与している。

<大学経営ビジョン>

5. 大学の持続的な発展を保証する仕組みの構築

社会の要請に応え、優れた教育によりグローバルな視野と教養を身につけた学生を社会に送り出す。 そのために、財政基盤を確立し、積極的に大学情報を公開し、説明責任を果たし、ガバナンスとコンプライアンスを強化することができている。加えて、改革を通して持続的な発展を続ける大学、社会から信頼され、欠くことができない大学となっている。

II. ビジョンを実現するための5つの基軸と21の戦略

<基軸1> 語学力・コミュニケーション力・人間力を備えたグローバル人材の育成

日本、世界がグローバル化する中で、長崎外国語大学は、グローバル人材の育成を最も重要な基軸目 標と考える。グローバルに活躍できる人材は、複数の外国語の実践的な運用能力、コミュニケーション力、 並びに幅広い教養と専門的知識を有する必要がある。外国語のスキルや知識の修得はもとより、留学・ インターンシップ・フィールドワークにおける実践的な学びも重要であり、両者が相まって相乗効果を上げるような学修環境と多文化キャンパスの構築が必要である。また、自国民としてのアイデンティテ ィを確立するために、自国の歴史や文化を修得していることも重要である。教室で学ぶ授業も一方的な講義だけではなく、教員と学生、学生同士が議論を深める場として様々な教授法の工夫が必要となる。 これらを総合して、国際社会において活躍できる有為な人材を養成し、広く社会に輩出する。

〔戦略〕
1. 入試・入学制度の再構築による多様で優秀な学生の確保
2. グローバル人材育成のための教育体系の再構築と教育プログラムの開発
3. 学士課程教育の質保証への取組み強化
4. 教員主体から学生主体への教育の転換
5. 外国人留学生教育の充実
6. 教育活動と学修内容の公開
7. 学生の多様なニーズにこたえる学生支援の推進
8. 就職率 100%を目指すキャリア教育と就職活動支援プログラム
9. 長崎外大ミッションの理解促進と長崎外大生としての誇りの涵養
10. 高度なグローバル人材育成のための大学院の設置

<基軸2> グローバル人材育成の基盤となる研究の推進

大学の機能分化の観点から、長崎外大は研究主体の大学ではなく、むしろ教養教育や幅広い職業人の育成と社会への貢献を目的とした大学に分類されよう。個々の教員が自らの専門領域を超えて、教育に必要とされる幅広い分野やテーマにおける研究に主体的に取り組み、よってグローバル人材育成のための教育の充実を図る。
大学はグローバル人材育成の基盤となる研究、学問の枠組みを超えて地域やグローバル社会の問題解決に寄与する研究活動や取組み、並びに新しい教授法の開発につながる研究を重点的に支援する。また、 新たな教育・研究分野への挑戦を積極的に支援する。

〔戦略〕
11. グローバル人材育成のための基盤となる研究の強化
12. 地域社会の課題解決に向けた研究活動の推進

<基軸3> グローバル人材育成の基盤となる国際戦略の展開

グローバル人材育成の基盤として、積極的に外国人留学生を受け入れ、日本人学生と外国人留学生が 共に学ぶあえる教育システムや多言語・多文化のキャンパスづくりを推進する。教職員のグローバル教育対応能力を高め、また、双方向での留学生・研究者交換プログラムの充実を図る。

〔戦略〕
13. 教育のグローバル化推進
14. アセアン諸国等の大学との連携推進
15. キャンパスのグローバル化推進

<基軸4> 卒業生・地域社会との連携の強化

多くの卒業生が本学と生涯にわたる関係を持続的に保ち、またグローバルな視野をもった市民として活躍できるよう支援することを目指す。大学の有する様々な人的、知的資源を活用し、地域社会と連携 しながら、新しい価値を創造するための取り組みを推進することによって、地域の発展に欠くべからざ る大学として確固たる地位を確立する。

〔戦略〕
16. 社会連携の強化と社会貢献の充実
17. 卒業生・保護者との関係強化

<基軸5> 大学の持続的な発展を保障する仕組みの構築

〔戦略〕
18. 財政基盤の確立と財務体質の強化
19. ガバナンスの強化
20. 自己点検評価システムの確立と外部評価システムの導入
21. 教員・職員の職務遂行能力の開発と評価

III. 21の戦略

◆ 4つの視点

ビジョンを実現するための方策として5つの基軸のもとに21の戦略を設ける。戦略の遂行においては、次の4つの視点を重視するものとする。

1. 学生・保護者、卒業生、社会(地域、産業界等)の視点
第一に学生・保護者、次に卒業生、社会(地域、産業界等)が大学に何を期待しているかをそれぞれの立場になって考え、大学のミッション実現のために、大学は学生・保護者、卒業生、社会(地域、 産業界等)に何をしなければならないのかを明確にする。

2. 教育と学生サービスの質保証の視点
大学が学生の満足度を高め、社会の信頼を獲得するためには、いかにして秀でた教育と学生サービ スを提供できるかを考え、その具体策を明らかにする。

3. 人材と変革の視点
大学が優れた教育と学生サービスを提供し、学生の満足度の向上を図り、大学のミッションを実現 するためには、大学の経営基盤を確立しておかなければならない。すなわち、大学が競争力優位の立場に立つためには、教職員一人ひとりの能力開発や人材育成が重要である。また、前向きな風土や大学の改革能力も不可欠である。

4. 財務の視点
学生や保護者等、ステークホルダーの満足度を高めるためには、優れた、競争力のある教育と学生サービスを提供しなければならないが、この期待に応えるためには財務の視点を設け、財務目標の達成に全力を注ぐ必要がある。また、「全学的な視野に立ち、人材、資金の有効な活用を図る中で新規事業を実施し、財政を圧迫しない改革とする。」(改革姿勢3)

◆ 21の戦略の構成

各戦略は、「4つの視点」から「目的」「目標」、「改革のポイント」、「実現のためのプロジェクト」 を記述したものである。

1. 「目的」
ビジョンと戦略を実現する上での目的を記述したものである。

2. 「目標」
ビジョンと戦略を実現する上で、必要となる4つの視点に基づく戦略目標である。

3. 「改革のポイント」
改革のポイントとは、戦略目標を達成するためには様々な成功要因をあげることができるが、 そのうちで最も重要なもの。

4. 「実現のためのプロジェクト」
「戦略プログラム」や「アクション・プラン」と読み替えることができ、戦略目標を実現する ための実行プランを言う。

*プロジェクトの実施にあたっては、成果を評価するための「評価指標」「ターゲット(数値目標)」を設定するものとする。


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